国鉄振り子車「381系」数年後に引退か 特急「やくも」新車導入を中計見直しで明記



381系で運転されている特急「やくも」。【画像:H.Motti/写真AC】

JR西日本は、山陽本線・伯備線・山陰本線の岡山~出雲市間を結ぶ特急「やくも」に新製車両を導入する方針を、同社グループの中期経営計画に盛り込んだ。「やくも」で現在運用されている国鉄特急型車両の381系電車の引退が確定的になった。

JR西日本は2018年4月に策定したグループ中期経営計画で、「山陰エリアと山陽エリアを結ぶ新幹線のフィーダー特急『やくも』の輸送品質向上」を盛り込んだ。同社が調達計画の参考資料として公表している「保有車両一覧」でも、2018年頃の更新分から「381系 約60両を新製車両に置換計画あり」との文言を盛り込んでいた。

JR西日本は今年2020年10月30日、新型コロナウイルス感染拡大による業績の急激な悪化などを受け、中期経営計画の見直し内容を策定し公表。山陽新幹線のN700S電車4編成の増備や北陸新幹線の敦賀開業に向けたW7系電車11編成の増備のほか「『やくも』車両新製」を盛り込み、従来の中期経営計画より一歩踏み込んだ表現になった。

「保有車両一覧」では、381系に代わる新製車両の投入予定時期を2022~2023年としている。このため、2022年に現在の381系に代わる新型車両が導入され、2023年には「やくも」の車両がすべて新型車両に入れ替わって381系が引退する可能性がある。

ただ、現在公表されている「保有車両一覧」は中期経営計画の見直しが策定される前の今年2020年4月1日現在のデータで、381系が引退する時期は依然として流動的だ。

381系は1973年にデビューした国鉄の特急型電車。日本の鉄道車両としては初めて振り子装置を搭載した営業用の車両で、線路がカーブしている部分では車体を傾けて通過することで乗り心地の向上を目指した。中央本線の「しなの」や紀勢本線の「くろしお」、伯備線の「やくも」などに導入されたが、老朽化のため順次引退。現在運用されているのは「やくも」だけだ。

国鉄時代に開発された特急型電車のうち、現在も定期列車で運用されているのは、JR東日本の185系電車とJR西日本の381系の2形式だけとなっている。