JR松任工場「跡地活用」白山市が検討へ 国鉄の名門工場、新幹線の延伸で閉所



石川県白山市は3月に閉所したJR西日本の金沢総合車両所松任本所について、跡地の活用策を検討する。同市の本年度2024年度補正予算に「車両所跡地土地利用ビジョン策定事業」として475万円を盛り込んだ。

かつて国鉄の松任工場だったJR西日本の金沢総合車両所松任本所(2015年)。【撮影:草町義和】

松任本所の敷地面積は東京ドームの約2.8個分に相当する約13万平方m。白山市はまちづくりの観点から外部の意見を採り入れて提言を行う検討委員会を7月にも設置する考えで、提言に基づき土地利用ビジョンを策定する方針だ。

松任本所はJR北陸本線(現在のIRいしかわ鉄道線)・松任駅の北側にあった車両工場。国鉄の松任工場として90年近く前の1935年に設置された。おもに北陸地域で運用されていた国鉄車両の法定検査や整備・修繕を長きにわたって一手に引き受け、国鉄の「名門工場」と呼ばれた。

国鉄分割民営化後はJR西日本の車両に加え、第三セクターの北越急行(2015年まで)やあいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道の車両の法定検査も受託していた。しかし昨年2023年9月に車両整備を終了。今年2024年3月には北陸新幹線の延伸開業に伴う北陸本線の経営分離にあわせて閉所した。

松任本所内で静態保存されていた2120形蒸気機関車の2272号機(2015年)。【撮影:草町義和】
松任本所内に留置されていたキ100形除雪車のキ209(2015年)。【撮影:草町義和】

これを受けて白山市は跡地の活用を推進するため、企画振興部内にまちづくり推進室を設置。補正予算案に関連費用を盛り込んでいた。

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