JR東海は7月23日、鉄道の保守作業員向けの「アシストスーツ」を開発したと発表した。将来の労働力人口の減少を見据え、作業員の身体的負担の軽減や作業効率の向上を目指す。
住宅部材メーカーのダイドー(大阪府河内長野市)と共同で開発。ダイドーの上腕アシストスーツ技術をベースに、鉄道設備の保守作業に関するJR東海のノウハウに基づく機能を盛り込んで新たに開発した。
開発したアシストスーツは、上腕部をサポートして腕を任意の高さに保持するというアシスト機能を搭載。はしごの昇降や工具の交換時など作業中に腕を下げる場合にも対応する必要があるため、アシスト機能をオン・オフできるスイッチを新たに設けた。また、高所作業時に作業員が装着している墜落制止用器具に容易に取り付けられる構造とし、アシストスーツと墜落制止用器具を一体化して使用することができるようにした。
JR東海によると、電車線設備の保守作業では金具の締結や締結状態の確認など、一定の時間に腕を上げ続ける状態になる作業が多くある。こうした作業は腕や肩に対する負担が大きく作業効率にも影響することから、アシストスーツを開発した。電車線設備の保守作業を想定した実証試験を実施したところ、作業性に問題ないことを確認したという。
JR東海は今後、駅の照明器具の点検などでも実証試験を実施し、作業員の身体的な負担をさらに軽減できるかどうか検討していくとしている。
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