日立などカナダの地下鉄システム「一括受注」車両製造から運行保守まで、1兆円規模



日立製作所は11月18日、同社グループの日立レールがカナダ・トロントで計画されている地下鉄オンタリオ線の車両やシステムなどを一括で受注したと発表した。契約金額は90億カナダドル(約9500億円)で、1兆円近い規模になる。

地下鉄オンタリオ線の駅と車両のイメージ。【画像:日立レール】

日立レールをリーダーとする共同事業体「コネクトシックス」が、インフラストラクチャー・オンタリオとメトロリンクスから受注したもの。インフラストラクチャー・オンタリオはオンタリオ州でインフラを管轄。メトロリンクスはトロント市近郊の交通を管轄している。

受注したのはオンタリオ線に導入する車両やシステムなど。日立レールとコネクトシックスの参加企業は自動運転車両の設計・製造と軌道・鉄道システムの据付・統合のほか、30年間の運行・保守も行う。全駅に整備するWi-Fiアクセスや案内デジタルサイネージ、ホームドアも納入する。

また、オンタリオ線のためのデジタルコントロールセンターと保守・保管のための施設を新設し、数百人規模の継続的な雇用を創出。来年2023年の着工に先立ち採用活動を開始し、800人以上を採用する予定という。

オンタリオ線に導入する車両の車内イメージ。自転車を置くスペースが設けられる。【画像:日立レール】

日立製作所などによると、オンタリオ線はトロントのエキシビジョン駅とサイエンスセンター駅を結ぶ全長15.6kmの地下鉄新線プロジェクト。15駅が設けられ、このうち8駅が地下になる。

国際公共交通連合(UITP)が定めた鉄道の自動運転レベルのうち、運転士や添乗員が乗務しない完全自動運転の「GoA4」を採用。保安装置は無線式列車制御システム(CBTC)を導入する。運転間隔は最短90秒。1時間あたり片方向で最大3万人の輸送力を確保する。

自動運転車両の最高速度は80km/h。車内Wi-Fiやデジタル旅客情報システム、充電コンセント、自転車専用スペース、ホームドアと連動して動く車両ドア、回生ブレーキなどを備えるという。

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