JR西日本「ガンタンク方式」ロボット使用開始 鉄道の保守作業に使用、導入効果は?



JR西日本などは6月27日、JR西日本グループの西日本電気システムが人型の作業機械「多機能鉄道重機」を導入すると発表した。7月から営業線での鉄道設備の保守作業に使用する。

西日本電気システムが導入する多機能鉄道重機のベースになった「零式人機 ver.2.0」。【画像:人機一体】

JR西日本とロボットメーカーの人機一体、信号メーカーの日本信号が共同で開発した「零式人機 ver.2.0」をベースに開発、製造。道路と線路の両方を走れるトラック(軌陸車)に人間の上半身を模した人型ロボットとその操縦室を搭載した。

2足や多足での歩行はできない。形態としてはアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するロボット兵器「モビルスーツ」のうち、戦車と人型ロボットを組み合わせた格好のRX-75「ガンタンク」の方式に近い。ただし人型ロボットはブームで軌陸車に接続されており、比較的広い範囲を動き回ることができる。

多機能鉄道重機の外観。軌陸車に人間の上半身を模した人型ロボットを搭載した。【画像:人機一体】

JR西日本などによると、インタラクティブ作用で直感的な操作が可能なのに加え、さまざまなオプションツールの装備が可能。最大40kgの重量物を持つことができ、最大12mの高所作業も可能という。西日本電気システムは当面、架線支持物の塗装や線路に支障する樹木の伐採に使用する。JR西日本などは今後もオプションツールの開発を続け、対象作業を拡充する予定としている。

「零式人機 ver.2.0」に伐採ツールを持たせた姿。【画像:JR西日本/人機一体】

JR西日本などによると、多機能鉄道重機の導入で作業に要する人手が3割ほど減少するほか安全性も向上。操縦者の性別・年齢に制約されずに高所での作業が可能になることから、多様な人材の就業環境の創出につながる効果もあるという。

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