しなの鉄道115系の廃車が本格化 S6・S23編成が引退「お持ち帰り」イベント開催



しなの鉄道(長野県)は6月26日、旧型車両の115系電車のうち、3両編成1本(S6編成)と2両編成1本(S23編成)が営業運転を終了すると発表した。これに伴い、引退したS6・S23編成を解体して部品を持ち帰ることができるイベント「115系解体お持ちかえり体験会」が行われる。

しなの鉄道115系(3両編成タイプ)のうち写真のS6編成が引退する。【画像:しなの鉄道】

しなの鉄道の115系は、まずS23編成が7月3日をもって営業運転を終了。S6編成は翌7月4日をもって営業運転を終了する予定。引退後はほかの車両で再利用するための「部品取り」になるため解体される。

「115系解体お持ちかえり体験会」は7月18日に開催。参加費用は1万3000円で、ドライバー(車載工具品)や参加賞証明書、参加者が自分で取り外した部品が付く。実際に自分で外して持ち帰ることができる部品は、つり革4本と椅子座面一つ、ボックス席フック2個、座席札(日よけ幕)1カ所4枚、テーブル1個だ。参加者限定で部品の入札販売も行われる予定。入札商品は当日発表される。

募集人数は20人で、申し込みは7月1日10時から7月8日17時まで、しなの鉄道のウェブサイトで受け付ける。

2両編成タイプもS23編成が引退する。【画像:しなの鉄道】
しなの鉄道の115系。写真はS6編成と同型のS8編成で現在は観光列車「ろくもん」に改造されている。【撮影:草町義和】
S8編成を改造した観光列車「ろくもん」。【撮影:草町義和】

115系は1963年から1983年にかけて1921両が製造された国鉄の電車。寒冷地の路線や勾配がきつい山岳路線の普通列車用として開発された。耐寒耐雪仕様を採用したほか、車両を停止させずに速度を一定以下に抑えることが目的のブレーキ(抑速ブレーキ)を搭載している。

1987年の国鉄分割民営化時にJR東日本・JR東海・JR西日本の3社が継承。1997年の北陸新幹線・高崎~長野間開業にあわせて信越本線の軽井沢~篠ノ井間を第三セクターのしなの鉄道が引き継ぎ、車両もJR東日本から耐寒耐雪仕様を強化した115系1000番台を譲り受けた。2015年にJR東日本から経営を引き継いだ北しなの線(旧・信越本線の長野~妙高高原間)でも運用されている。これに先立つ2014年には、3両編成1本(S8編成)が観光列車「ろくもん」に改造された。

しなの鉄道は最終的に3両編成15本(S1~S16編成)と2両編成7本(S21~S27編成)の計59両をJR東日本から譲り受けたが、老朽化のため車両の更新が課題となっており、今年2020年7月4日に新型車両のSR1系電車がデビューする。しなの鉄道の115系は2013年に3両編成1本(S5編成)のみ廃車されているが、今回のS6編成とS23編成の引退を皮切りに115系の廃車が本格化することになる。

新型車両のSR1系(ライナー車両)。【画像:しなの鉄道】