【鉄道コネタ】方向感覚が狂う駅 隣の駅が「逆」に?



小学生の頃、親に連れられて新潟市を何度か訪ねたが、なぜか訪れるたびに方向感覚が狂った。

新潟駅の駅名標。【画像:きりみ/写真AC】

当時は新潟県六日町(現在の南魚沼市)在住。上越新幹線の開業前だったから、利用する交通機関はもっぱら国鉄在来線だった。上越線の六日町駅から普通列車や急行「佐渡」、あるいは特急「とき」に乗って信越本線の新潟駅へ。数時間ほど市内を回って新潟駅に戻ってくると、駅名標の表示がおかしい。

「あれ? 隣の駅が逆になっている?」

駅名標には通常、隣の駅がどちら側にあるかを示す表示もある。新潟駅で下車したときに見た駅名標は、ここまで乗ってきた列車の進行方向とは逆寄りに「えちごいしやま(越後石山)」「ひがしにいがた(東新潟)」の表示があったはず。復路、つまり六日町に戻るときは、この2駅の駅名が列車の進行方向寄りになるはずだ。

ところが、駅に戻ってみると、越後石山駅と東新潟駅の表示は、復路の進行方向とは逆寄りにある……ように見えたのだ。

これはもちろん錯覚だが、その理由に気づいたのは、かなりあとになってからだった。

南魚沼市から見て新潟市は北東の方向にある。六日町駅から新潟駅まで列車に乗れば、進行方向の左側に海があることになる。学校ではすでに地図帳などを使い、自分が住んでいる場所が新潟県内のどこにあるのか、おおざっぱな位置は勉強していた。どちら側に海があるのかも分かっていたつもりだ。

新潟は六日町から見て北東の方角にある。【作成:草町義和/国土地理院の地図を加工】

しかし、信越本線はずっと北東を向いて進んでいるわけではない。縮尺の大きい地図で見てみると、新潟駅まであと15kmくらいの新津駅で進行方向を北東から北へ変え、さらに新潟駅に入る直前で北から西へと向きを変える。列車が回り込むようにして新潟駅に入るため、日本海は進行方向の右側、つまり逆になるのだ。

信越本線の列車は新津から新潟にかけて向きが変わる。【作成:草町義和/国土地理院の地図を加工】

当時の私は信越本線が回り込むようにして新潟駅に入ることを知らなかった。そのため、進行方向の左側に海があるという感覚のまま新潟駅を下車。おそらく市内を回っているあいだに方向感覚が「更正」され、新潟駅に戻ってきたときには駅名標の隣接駅表示が逆になっているように見えたのかもしれない。

このように、位置関係をおおざっぱに知っているがゆえに方向感覚が狂う駅というのは、ほかにもまだあるのだろうか。

西武鉄道の池袋線と新宿線が交差している所沢駅(埼玉県所沢市)の場合、池袋駅からやってきた池袋線の列車は所沢駅に入る直前で進行方向を西から南へ変え、本川越方面からやってきた新宿線の線路と合流している。そのため、所沢駅構内では上りと下りが池袋線と新宿線で逆になり、ちょっと分かりにくい。ネット上で検索してみても、この駅では方向感覚が狂いやすいと考えている人はけっこういるようだ。

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