JR西日本「ウエストエクスプレス銀河」117系改造車を公開 新タイプの長距離列車



「ウエストエクスプレス銀河」用の117系改造車。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

JR西日本は1月25日、新しいタイプの長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」の専用車両を吹田総合車両所(大阪府吹田市)で報道陣に公開した。5月8日から運転を開始する。

国鉄時代に製造された近郊型電車の117系を改造。8両編成1本(T2編成)から中間の2両を外し、6両を改造した。各車の形式と番号などは次の通り。

1号車:クロ116-7016(T’sc) グリーン車指定席

2号車:モハ116-7036(M’) 普通車指定席(女性席)

3号車:モハ117-7036(M) 普通車指定席

4号車:モハ116-7032(M’) ※全室フリースペース

5号車:モハ117-7032(M) 普通車指定席

6号車:クロ117-7016(Tsc) グリーン個室

両開きのドアなど改造前の117系の面影が随所に残る。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

車体は瑠璃紺色をベースにしており、「西日本が誇る美しい海や空」(JR西日本)を表現したという。

車内には、シートピッチを1200mm確保した普通車指定席のリクライニングシートのほか、簡易タイプの寝台「クシェット」や家族向けのコンパートメント「ファミリーキャビン」、寝台に変換できるボックス席「ファーストシート」、グリーン個室「プレミアルーム」などが設けられた。

「クシェット」「ファミリーキャビン」は普通車指定席の扱いで、「ファーストシート」はグリーン車指定席扱い。「プレミアルーム」は新たに設定されるグリーン個室として扱われる。

また、フリースペースも随所に設けられており、4号車は全室フリースペースだ。すべての席にコンセントが設置されており、グリーン車とグリーン個室はUSBタイプのコンセントもある。またWi-Fi回線も提供する。

JR西日本の鉄道本部車両部車両設計室の田邊尚紀課長によると、設計にあたって苦労したのは、寝台が2段式になっている「クシェット」。117系は従来の寝台車と異なり屋根が低いため、寝台の高さを確保するのが難しい。そこで下段の寝台を床近くまで低くすることでスペースを確保したという。

当面は5月8日以降の週末を中心に、関西と山陰を結ぶ臨時の夜行特急として9月まで京都・大阪~出雲市間で運行される予定。10月から来年2021年3月までは、大阪~下関間を結ぶ昼行特急列車として運転される予定だ。

グリーン車指定席「ファーストシート」(座席時)。 【撮影:鉄道プレスネット編集部】
グリーン車指定席「ファーストシート」(寝台セット時)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
グリーン個室「プレミアルーム」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
グリーン個室「プレミアルーム」(寝具セット時)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
普通車指定席(リクライニングシート)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
普通車指定席(ノビノビ座席)「クシェット」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
普通車指定席(コンパートメント)「ファミリーキャビン」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
普通車指定席(コンパートメント)「ファミリーキャビン」(寝具セット時)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
4号車のフリースペース「遊星」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

大阪~出雲市間397.2kmの場合、所定の運賃・料金の合計額はグリーン個室1万6480円、グリーン車指定席1万3430円、普通車指定席9770円。全国のみどりの窓口などで切符を買える一般の臨時列車として運転され、旅行代金が数十万はかかる「TWIRIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス瑞風)」などのクルーズトレインとは一線を画した、気軽に乗れる新タイプの長距離列車として注目される。