大阪万博の関連インフラ、鉄道「新味なし」道路「前倒し」 国が整備計画を決定



大阪万博の会場として整備される夢洲のイメージ。【画像:内閣官房】

国の国際博覧会推進本部は8月27日、2025年日本国際博覧会(大阪万博)に関連するインフラの整備計画を策定した。万博会場の交通機関の整備などのほか、万博閉幕後の「地域の社会経済活動を支える成長基盤」となるインフラを整備する。

整備計画では五つの柱として「1.会場周辺のインフラ整備」「2.会場へのアクセス向上」「3.安全性の向上」「4.にぎわい・魅力の向上」「5.広域的な交通インフラの整備」が盛り込まれた。鉄道関係で盛り込まれたおもなプロジェクトは次の通り。

●会場周辺のインフラ整備

・大阪メトロ中央線延伸(鉄道南ルート):万博会場が設けられる夢洲地区まで延伸するもの。大阪港トランスポートシステム(OTS)北港テクノポート線の計画区間のうち、コスモスクエア~夢洲(仮称)間の3.2kmが万博開催前の開業を目指して工事中。

●会場へのアクセス向上

・南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業推進:大阪府高石市内の南海電鉄本線・高師浜線を高架化する事業。南海本線の高架化は完了しており、高師浜線の高架化は2024年春に高架化される見込み。

・鉄道駅バリアフリー化(大阪メトロ、JR西日本ほか民営鉄道主要駅)

・北大阪急行延伸:北大阪急行電鉄南北線(北大阪急行線)を千里中央駅から国道423号(新御堂筋)沿いに北上し箕面萱野駅まで2.5km延伸するもの。2023年度開業に向け工事中。

●安全性の向上

・鉄道施設の耐震性強化(大阪メトロ中央線ほか民営鉄道主要駅や鉄道の高架橋)

・ホームドア、可動式ホーム柵整備(大阪メトロ中央線、御堂筋線、谷町線、四つ橋線、堺筋線ほか民営鉄道主要駅)

●広域的な交通インフラの整備

・なにわ筋線整備:大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」に設けられる北梅田駅(2023年予定の開業時には大阪駅に編入)からなにわ筋の地下を南下し、JR難波駅・南海新今宮駅に至るJR西日本・南海電鉄の新線。2031年春の開業に向け着工準備中。大阪市中心部と関西空港のアクセス向上を図る。

・北大阪急行延伸

・大阪メトロ中央線延伸(鉄道南ルート)

・大阪モノレール延伸:大阪モノレール線(本線)を門真市駅から大阪府道2号(大阪中央環状線)・近畿自動車道に沿って南下し、近鉄奈良線との交差地点となる瓜生堂駅(仮称)まで8.9km延伸。2029年の開業を目指し着工準備中。

これら延伸・新線・高架化のプロジェクトは、いずれも事業化済みで新味はなく、整備時期の前倒しなども具体的には盛り込まれなかった。

道路関係では阪神高速道路の淀川左岸線(2期)について、2026年度末の完成予定だったところ前倒しして整備し、新大阪駅や大阪駅から万博会場までシャトルバスルートとして暫定利用することが盛り込まれた。この前倒し・シャトルバス暫定利用案は2019年11月に大阪市が明らかにし、それに伴う財政支援を国に求めていた。

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