新幹線トンネルの携帯電話「エリア化」すべて完了 東海道の全エリア化から18年



JR東日本と総務省の東北総合通信局は11月25日、山形新幹線にある山形県内の六つのトンネルで、12月15日から携帯電話サービスの提供を開始すると発表した。これにより同新幹線のすべてのトンネルで携帯電話が使えるようになるほか、国内すべての新幹線のトンネルで携帯電話が利用できるようになる。

すべてのトンネルの携帯電話エリア化が完了する山形新幹線。【撮影:草町義和】

山形新幹線は、在来線を活用して整備されたミニ新幹線。福島~山形~新庄間にあるトンネルのうち、峠~大沢間の太鼓沢トンネル・第1太鼓沢トンネル・第2太鼓沢トンネルと、芦沢~舟形間にある滝ノ沢トンネル・第1猿羽根・第2猿羽根トンネルで、携帯電話基地局の設置工事が完了した。NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクが提供する携帯電話サービスの利用が可能になる。

新幹線のトンネルのエリア化工事は2002年までに東海道新幹線で完了したが、ほかの新幹線はトンネルの全エリア化が進まず、2016年に山陽新幹線で全トンネルのエリア化が完了した。

東京オリンピック・パラリンピックの2020年開催が決定(2021年に延期)したのを機に、新幹線トンネルのエリア化工事が急速に進んだ。東海道新幹線のエリア化から18年が過ぎた今年2020年、北海道新幹線(3月)、九州新幹線(5月)、東北新幹線(7月)、上越新幹線(7月)の各線で、全トンネルのエリア化が完了。ミニ新幹線も秋田新幹線のトンネルの全エリア化が7月に完了し、残りは山形新幹線のトンネルだけになっていた。

東北総合通信局によると、ミニ新幹線の山形・秋田新幹線は奥羽山脈を横断する路線ということもあり、山間部はトンネルの外でもエリア外になっている地域があった。このため、山形・秋田新幹線ではトンネルをエリア化するための工事だけでなく、トンネル周辺の基地局を新たに整備。さらに基地局に必要な電力・通信回線の整備も行うなど「これまでに例のない取組みにより実現した」という。

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