富山地方鉄道(富山地鉄)は9月25日、存廃問題が浮上している鉄道線について、関係自治体との協議状況などを発表した。本線・立山線の一部区間は引き続き同社が単独で維持するとし、それ以外の線区は自治体の支援や県民・沿線住民の理解が得られなければ廃止する考えをにじませた。

富山地鉄によると、本線は電鉄富山~上市が採算の取れている区間で、上市以遠は採算が取れていない。立山線も寺田~五百石は採算が取れているが、五百石以遠は採算が取れていないという。
その一方、富山地鉄は採算が取れている本線・電鉄富山~上市と立山線・寺田~五百石に加え、不採算区間の本線・上市~滑川と立山線・五百石~岩峅寺も「これまで通り弊社単独で運営したいと考えております」としている。富山地鉄は不採算区間も一部維持する理由として、上市~滑川は「あいの風とやま鉄道との鉄道ネットワークの維持」、五百石~岩峅寺は「不二越・上滝線との接続を確保」を挙げている。
稲荷町~南富山~岩峅寺を結ぶ不二越・上滝線は、富山市が2026年度からみなし上下分離方式を導入して維持する方針を示している。これに対して富山地鉄は「その他の区間も同様に、今後、維持に向けた行政負担の方針を示していただいたとしても、それに対する県民・沿線住民の皆様の十分なご理解、コンセンサスが得られてこそ、運営の継続が可能になるものと考えております」としている。

これにより、富山地鉄は不二越・上滝線と「その他の区間」のうち単独維持の方針を示していない本線・滑川~宇奈月温泉、立山線・岩峅寺~立山について、自治体の支援とそれに対する県民・沿線住民の理解が得られなければ廃止する意向を示した格好になった。




富山地鉄は富山市~富山県東部を結ぶ鉄道線と、富山市内の路面電車線を運営。鉄道線は地域輸送に加え、宇奈月温泉や立山黒部アルペンルートなどの観光輸送も担っている。
国土交通省鉄道局が公表している『鉄道統計年報』によると、輸送密度は2012年度で本線が2284人、立山線が704人、不二越線が966人、上滝線が1036人。北陸新幹線・長野~金沢延伸開業後の2015年度は各線とも増加したが、コロナ禍が本格化した2020年度は大幅に減少した。その後は回復傾向にあるものの、厳しい経営が続いている。
鉄道線の輸送密度(2012~2022年度)
※カッコ内は前年度からの増減
●2012年度
本線:2284人
立山線:704人
不二越線:966人
上滝線:1036人
●2013年度
本線:2246人(-38)
立山線:710人(+6)
不二越線:943人(-23)
上滝線:1019人(-17)
●2014年度
本線:2274人(+28)
立山線:747人(+37)
不二越線:1026人(+83)
上滝線:1065人(+46)
●2015年度
本線:2409人(+135)
立山線:789人(+42)
不二越線:1065人(+39)
上滝線:1104人(+39)
●2016年度
本線:2414人(+5)
立山線:795人(+6)
不二越線:1068人(+3)
上滝線:1106人(+2)
●2017年度
本線:2463人(+49)
立山線:810人(+15)
不二越線:1095人(+27)
上滝線:1135人(+29)
●2018年度
本線:2332人(-131)
立山線:920人(+110)
不二越線:1160人(+65)
上滝線:1571人(+436)
●2019年度
本線:2330人(-2)
立山線:872人(-48)
不二越線:1269人(+109)
上滝線:1531人(-40)
●2020年度
本線:1872人(-458)
立山線:476人(-396)
不二越線:1053人(-216)
上滝線:1347人(-184)
●2021年度
本線:1884人(+12)
立山線:510人(+34)
不二越線:1109人(+56)
上滝線:1388人(+41)
●2022年度
本線:1922人(+38)
立山線:617人(+107)
不二越線:1064人(-45)
上滝線:1364人(-24)
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