ドクターイエロー「完全代替」営業車両用の検測技術を新開発 現地点検も一部置き換え



JR東海は10月16日、東海道新幹線の営業車両で使用できる新しい検測技術を開発したと発表した。従来は「ドクターイエロー」と呼ばれる検測専用車両で行っていた検査をすべて営業車両で行えるようにするほか、現地点検も一部は営業車両による検測に置き換える。2027年1月からの運用開始を見込む。

新しい検測技術が導入される東海道新幹線の営業車両(N700S)。【画像:likewind/写真AC】

JR東海が今回新たに発表した営業車両用の検測技術は、「軌道検測システム」「架線検測装置」「先頭車画像装置」の三つ。

軌道検測システムは一つの台車のみ使用。台車に搭載した角度センサーと変位センサーで軌道の形状を算出できるようにした。「ドクターイエロー」の軌道検測は二つの台車を使用し、底上げした床の下を通したレーザー光を基準に軌道の形状を算出。この方式では客室の天井が低くなり、営業車両では採用できなかった。

軌道検測システムの概要。【画像:JR東海】

架線検測装置はパンタグラフ付近に設置した測定用カメラで撮影するもの。AI技術などを活用して撮影した画像を解析し、トロリ線の異常の予兆や架線金具の取付状態を検測する。先頭車画像装置は運転台のカメラで電線類や電柱を撮影。AI技術などを活用して撮影した画像を解析し、支障物を自動で判定する。

架線検測装置の概要。【画像:JR東海】
先頭車画像装置の概要。【画像:JR東海】

これまで「ドクターイエロー」で実施していた検査の項目は、「軌道の形状」「トロリ線に作用する力」「トロリ線の摩耗状態・高さ」「レールに流れる自動列車制御装置(ATC)信号の受信レベル」「列車無線の通信状態」など。このうち「トロリ線の摩耗状態・高さ」や「レールに流れるATC信号の受信レベル」などは営業車両による検測を導入済みだ。

「列車無線の通信状態」などはミリ波列車無線の運用開始(2027年1月)に伴い測定自体が不要になる。残る「軌道の形状」「トロリ線に作用する力」などは、今回発表された技術で対応。これにより「ドクターイエロー」で行ってきた検査は、すべて営業車両で行えるようになる。

このほか、現在は徒歩巡回の目視などによる点検を実施している検査項目のうち、「軌道材料の状態」「電車線設備の以上」「電車線や電柱の支障物」も営業車検測で対応できるようになる。

JR東海は2019年、新型車両のN700S電車の営業車両で地上設備の検査を行うと発表。営業車両に搭載できる検測装置の開発を順次発表していた。「ドクターイエロー」は2025年1月をもって東海道新幹線での検測走行を終了している。

東海道新幹線での検測走行が終了した「ドクターイエロー」。【画像:RyoF0610/写真AC】

JR東海によると、営業車両による検測を行うことで「ドクターイエロー」のような検測専用車両を開発、製造、運用する必要がなくなり、コストダウンにつながる。また、営業車両での検測が可能となることで「ドクターイエロー」に比べ検査の頻度が向上し、東海道新幹線の安全性を高めることができるという。

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