ロシア隣接国の鉄道で2本のレール幅(軌間)を1435mmの標準軌に変更する「脱広軌」の流れが加速している。ウクライナやバルト3国に加え、フィンランドも「レール・ノルディカ」と題した標準軌化構想を立ち上げた。背景にはロシアによるウクライナ侵攻がある。

フィンランドの鉄道の軌間は1524mmの広軌。構想では標準軌を採用しているスウェーデンの鉄道を延伸する形でフィンランド北部の鉄道を標準軌に改軌する。
フィンランド政府が6月に発表した推定によると、フィンランド・スウェーデン国境のトルニオ・ハパランダからロバニエミやオウルまでの改軌費用は約15億ユーロ。北部地域全体では約32億ユーロで、これにコラリ(フィンランド)~スバッパバーラ(スウェーデン)の新線を加えると約48億ユーロになる。この新線は北極圏の不凍港であるナルビク(ノルウェー)へのルートを構成する。
フィンランド政府は2026~2029年度の財政計画で、「レール・ノルディカ」の調査費として2000万ユーロを計上した。まず第1段階としてハパランダ・トルニオ~ケミの改軌を図る方針だ。

現在のロシアを含む旧ソ連の鉄道は帝政ロシア時代に1524mmの広軌を採用して建設。フィンランドの鉄道も帝政ロシアに支配されていた時代に1524mmで建設された。
第2次世界大戦後にソ連は軌間を1520mmに変更したが許容誤差の範囲内で、ウクライナ侵攻直後の2022年3月までロシア~フィンランドを直通する国際列車が運行されていた。一方でスウェーデンの鉄道は標準軌を採用しており、フィンランドとスウェーデンを結ぶ直通列車は運行できなかった。
第2次世界大戦後のフィンランドは外交・軍事面では中立的な立場を採ってきたが、東西冷戦の終結とソ連崩壊を機に西側諸国に接近。1995年、欧州連合(EU)に加盟した。さらに2022年のウクライナ侵攻を受け、翌2023年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟。ロシアへの対決姿勢を鮮明にしている。
この過程でEUとNATOがフィンランドの鉄道の標準軌化を求めたこともあり、「レール・ノルディカ」の構想が浮上した。フィンランド運輸通信省は「標準軌化の目的は軍事機動性と補給の安全性を促進すること。また、フィンランドやほかの北欧諸国におけるビジネス環境の改善とNATOのニーズへの対応も目指す」としている。
ロシアと同じ広軌を採用している国ではウクライナも標準軌化を計画。今年2025年9月にハンガリー・スロバキア国境近くの約22kmで標準軌の鉄道が整備された。ポーランドとバルト3国を結ぶ標準軌の鉄道プロジェクト「レール・バルティカ」はウクライナ侵攻の前に計画され、現在工事が進められている。
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