「東京メトロ株」半分ずつ売却へ 赤羽国交相と小池都知事が上場で合意



株式の上場が決まった東京メトロの丸ノ内線。【撮影:草町義和】

国土交通省の赤羽一嘉大臣と東京都の小池百合子知事は7月15日、東京メトロの株式を売却して上場する準備を進めることで合意した。国交相の交通政策審議会(交政審)の答申を受け、国と都がそれぞれ東京メトロ株を半分ずつ売却する。

交政審は同日、「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」を答申。東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)と都心部・品川地下鉄(白金高輪~品川)について、早期に事業化を図るべきとした。両線の事業主体は東京メトロが「適切」としつつ、同社の経営に悪影響を及ぼさないよう地下高速鉄道整備事業費補助や都市鉄道融資を活用するなど「十分な公的支援が必要」した。

東京メトロ株の売却については、両線の整備を「確実なものとする」ため、整備期間中は国と東京都が株式の半分を保有することが適切とし、残りの半分については「公正な価格・方法で売却する観点からも、東京メトロの企業価値の向上や財務の健全性の確保を図るとともに国と東京都が共同で手続きを進め、同時・同率で売却することが重要」とした。

赤羽国交相はこの答申を受け「関係者とも連携して、新線整備の前提となる公的支援や東京メトロ株式の確実な売却など必要な取組を進めてまいります」とコメント。同日の小池知事とのオンライン会談において、東京メトロ株をそれぞれ半分ずつ売却することで合意した。

東京メトロは2004年、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の事業を継承する特殊会社として発足した。株式は政府(53.4%)と東京都(46.6%)がそれぞれ保有。国は2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するため、東京メトロ株を2027年度末までに売却することを決めている。

東京メトロは発足以来、株式上場と完全民営化を目指しているが、経営への影響が大きい新線の建設は副都心線の開業(2008年)以降、行わないという方針を堅持してきた。今回の国交相・都知事合意で上場の実現が高まった一方、東京メトロは再び新線の建設に乗り出すことになる。

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