交政審「有楽町線延伸」「品川地下鉄」早期事業化求める 事業主体「メトロが適切」

有楽町線の豊洲駅。左側が本来のホームで、右側の鉄板に覆われている部分から半蔵門線の住吉駅へ延伸する。【撮影:草町義和】

交通政策審議会(交政審)は7月15日、「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」を国土交通大臣に答申した。東京圏の鉄道構想のうち「東京8号線(東京メトロ有楽町線)の延伸」と「都心部・品川地下鉄」の早期事業化を盛り込んだ。

東京8号線延伸と都心部・品川地下鉄は2016年、交政審の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」(198号答申)に盛り込まれた。

東京8号線は豊洲~住吉間と押上~野田市間の延伸が構想されており(住吉~押上間は既開業の東京11号線=東京メトロ半蔵門線を共用)、このうち豊洲~住吉間の先行整備が考えられている。

東京8号線延伸(豊洲~住吉)のルート・駅(江東区の整備計画)。【画像:国土地理院地図、加工:草町義和】

交政審の198号答申では、豊洲~住吉間について「臨海副都心と都区部東部の観光拠点や東京圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上」「京葉線及び東西線の混雑の緩和」といった意義がある路線と位置付け、「事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方や事業主体の選定等について合意形成を進めるべき」としていた。

今回の答申で交政審は「事業主体の選定や費用負担の調整を早急に進め、早期の事業化を図るべき」とし、198号答申より一歩踏み込んだ表現で早期整備を強く求めた。

都心部・品川地下鉄は、白金高輪~品川間を結ぶ地下鉄の構想。白金高輪駅で東京メトロ南北線・都営三田線と接続して直通運転を行うことが考えられる。

都心部・品川地下鉄の位置。【画像:国土地理院地図、加工:草町義和】

198号答申は「六本木等の都心部とリニア中央新幹線の始発駅となる品川駅や国際競争力強化の拠点である同駅周辺地区とのアクセス利便性の向上」といった意義があるとしつつ「検討熟度が低く構想段階」「事業主体を含めた事業計画について十分な検討が行われることを期待」とし、検討の深度化が必要な路線と位置付けていた。

今回の答申では、事業化に向けた検討が進んでいることや、近年の品川駅周辺の開発計画の進展を踏まえ、東京8号線延伸と同様「事業主体の選定や費用負担の調整を早急に進め、早期の事業化を図るべき」とし、整備の優先順位を上げる形となった。

また、今回の答申では両線とも「東京メトロのネットワークとの関連性があり、運賃水準や乗換利便性など利用者サービスの観点や整備段階での技術的な観点からも、東京メトロに対して事業主体としての役割を求めることが適切」とした。

その一方、東京メトロが株式上場を目指していることや、多額の設備投資で同社の経営に悪影響を及ぼさないことが「大前提」で十分な公的支援が必要とし、両線の整備に際しては地下高速鉄道整備事業費補助の適用や鉄道・運輸機構による都市鉄道融資の活用が適切とした。

都心部・臨海地域地下鉄は「検討の深度化」

このほか、東京駅と臨海部を結ぶ「都心部・臨海地域地下鉄構想」についても、常磐新線(つくばエクスプレス線)との接続を含め「事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とした。同線は198号答申では「事業性に課題があり、検討熟度が低く構想段階」としていたが、今回の答申では臨海部の大規模開発計画が進展していることなどを挙げ、検討を深めるよう求めた。

都心部・臨海地域地下鉄のルート・駅(東京都中央区の検討案、秋葉原~東京間はつくばエクスプレス線の東京駅延伸)。【画像:国土地理院地図、加工:草町義和】

東京メトロは2004年、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)を民営化する形で発足。現在は国と東京都が株式を保有する特殊会社だが、東日本大震災の復興財源を確保するため、国が保有する東京メトロ株を2027年度末までに売却することが決まっている。

株式売却にあたっては「今後の地下鉄ネットワークのあり方について議論した上で、東京メトロが果たすべき役割及びその役割を踏まえた株式売却のあり方について議論する必要がある」として、国交相は昨年2020年12月、交政審に今後の地下鉄ネットワークのあり方について諮問していた。

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