京都丹後鉄道「国鉄急行グリーン車」復活 KTR700形の「構造」生かして装飾



京都丹後鉄道(丹鉄)を運営するWILLER TRAINSの親会社WILLERは1月28日、丹鉄の宮津線(宮舞線・宮豊線)でリバイバル列車「みやづ号」を運行すると発表した。宮津線の開業100周年を記念した企画。KTR700形気動車1両を、国鉄時代に走っていた急行列車のグリーン車を模したデザインで走らせる。

京都丹後鉄道(北近畿タンゴ鉄道)のKTR700形(写真は上下分離導入前の2013年)。【撮影:草町義和】

2月1日から西舞鶴~豊岡で運行。車体は国鉄キハ58系急行型気動車のうち、グリーン車のキロ28形を模したデザインに変える。全体のデザインはキハ58系共通のクリーム・赤2色。窓下にグリーン車であることを示す薄緑色の帯を入れる。3月31日までは、列車名の「みやづ」の文字と天橋立の「飛龍観」をイラスト化したヘッドマークを装着する予定だ。

リバイバル列車「みやづ号」としてキロ28形を模した外観に変わるKTR700形のイメージ。【画像:WILLER】
「みやづ号」のイラスト。【画像:WILLER】
ヘッドマークのイメージ。【画像:WILLER】

乗車区間の運賃だけで利用でき、急行料金やグリーン料金などを別途払う必要はない。運行ダイヤは丹鉄のウェブサイトで案内する。

宮津線は1924年から1932年にかけ、国鉄線として現在の西舞鶴~豊岡83.6kmが全通。戦後はキハ58系による急行「丹後」などが多数運行されていた。1987年の国鉄分割民営化に伴いJR西日本が宮津線を暫定的に継承。1990年に第三セクターの北近畿タンゴ鉄道が同線の運営を引き継いだ。2015年には上下分離方式を導入。WILLER子会社のWILLER TRAINSが北近畿タンゴ鉄道から線路や車両を借り入れて列車を運行する体制に変わった。

急行「丹後」などのグリーン車として運用されていたキロ28形は、車体側面の窓に2連1段下降式を採用。同じ時期に登場した国鉄の153系急行型電車のグリーン車(サロ152形)なども同様の構造を採用しており、国鉄急行車両のグリーン車の標準的な仕様になった。

国鉄の座席種別が等級制(1等・2等)からモノクラス制(グリーン車・普通車)に移った直後の熊本県内の国鉄駅(1969年6月)。背後には2連1段下降窓を採用したキロ28形が見える。【所蔵:沖縄県公文書館】

一方、JR西日本から北近畿タンゴ鉄道への転換時に導入されたKTR700形も、2連窓を採用。車体の塗装を除けば国鉄急行車両のグリーン車と窓の形状がよく似ている。今回のリバイバル列車はKTR700形の構造を生かした企画といえる。

KTR700形の窓も2連窓を採用している。【撮影:草町義和】

WILLER TRAINSは「往年の鉄道ファンや地域住民の方には、昭和の鉄道情景を思い起こし懐かしさを感じていただけ、初めて見る方には新鮮だけどどこか懐かしい気持ちになるデザインになっています」とアピールしている。同社は1日フリーパスの記念切符「『みやづ号』運行開始記念企画きっぷ」(2000円)も発売する予定だ。

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