広島県・広島市・JR西日本は9月25日、山陽本線の向洋駅(府中町)付近で実施している高架化工事の一環として、12月7日に仮線切替工事を実施すると発表した。これに伴いJR西日本は夜間に列車を運休する。仮線切替は4回目で、これが最後。今後は高架橋本体の工事が本格的に始まる。

仮線切替工事に伴う運休の日時は12月7日の21時ごろから終電まで。山陽本線と同線に乗り入れる呉線の列車が海田市~広島で運休し、折り返し運転を行う。バスによる代行輸送が行われる。

この高架化工事は山陽本線・安芸中野~天神川と呉線・矢野~海田市の線路を高架化する連続立体交差事業の一環。2期に分けて計画されており、第1期区間として向洋駅とその前後の約2.0kmを高架化する工事が2021年6月から始まった。
工事方法は仮線工法を採用。仮線への切替工事は2023年4月に旅客上り線、昨年2024年2月に貨物上り線、今年2025年1月に貨物下り線で実施された。4回目となる今回は旅客下り線を仮線に切り替える。仮線切替はこれで終了し、その後は従来の線路の撤去工事を進め、来年度2026年度の春ごろから高架橋本体の工事に着手する予定だ。

第1期区間は着工時点では事業費(協定額)を447億円、完成予定時期を2030年度ごろとしていた。しかし広島県は2025年6月、事業費の増大と工期の延長を明らかに。コロナ禍の影響に加え建設資材の高騰や労務賃金の上昇、働き方改革などの社会経済情勢の変化を受け、事業費は1.5倍以上の約700億円、完成時期は3年延期の2033年度ごろになる見通しとしている。
海田市駅とその前後を高架化する第2期区間についても、広島県は工事の着手時期や完成時期などを精査しているとしており、完成の延期は避けられないとみられる。
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