JR西日本は12月1日、大阪駅西側エリアの新しい改札口と、大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」内に設けられる地下新駅(うめきた新駅、旧仮称:北梅田駅)を報道関係者に公開した。同時に改札口の名称も発表。西側エリア改札は「西口」、うめきた新駅エリアの改札は「うめきた地下口」にするとした。来年2023年春から使用開始する。
まず大阪駅9・10番線ホームの西端に設けられた階段を下り、西側エリアの新改札口「西口」のコンコースへ。床や柱の装飾が一部完成しており、柱には縦に青いラインが入っている。かつて大阪駅の周辺に船着場があったことから「水の都・大阪」をイメージしてデザインしたという。
西側エリアは既存のJR線ホーム(1~11番線)とすべてつながる計画。各ホームの西端を延伸・拡充して階段・エスカレーター・エレベーターが設けられる。ただし2023年春の使用開始時点では一部のホームが西側エリアとはつながらず、順次整備される予定だ。
いったん外に出て駅の北側を通る道路を渡り、うめきた2期の工事現場へ。ここから地下に通じる階段を下りると、大阪駅うめきたエリア(うめきた新駅)の改札口「うめきた地下口」のコンコースになる。仕上げ工事はこれからといったところ。天井には木漏れ日をモチーフにした照明が整備されるという。ここと西側エリアの改札内はエレベーターやエスカレーターを備えた地下連絡通路で結ばれる。
さらに階段を下りて行くと島式2面4線の地下ホーム(21~24番線)が現れた。プラットホームなどの構造物は完成しており、最も東側に位置する21番線ホームに設置されたフルスクリーンホームドアの可動実演も行われた。
フルスクリーンホームドアは複数のユニットで構成されている。デジタルサイネージを搭載したユニット(親扉)に二つのガラスユニット(子扉)が付属する形。これを「ふすま」のように動かすことで開口部の位置を自在に変えることができ、車両によってドアの数や位置が異なっていても対応できる。JR西日本によると、このような方式のフルスクリーンホームドアは世界初という。
客の取り残しなどを防止するためのセンサーも設置されている。可動実演でドアが閉まる際に手を出してみたところ、ドアがすぐに停止した。
うめきた新駅は東海道本線貨物支線(梅田貨物線)に設けられる。同線は吹田貨物ターミナル駅から大阪駅北側にあった梅田貨物駅跡地を経て大阪環状線の西九条駅につながる貨物線。現在は貨物列車のほか京都・新大阪方面と関西空港・和歌山方面を結ぶ特急「はるか」「くろしお」が運転されている。梅田貨物駅跡地をうめきた2期として開発するのに伴いルートを一部変更して地下化し、うめきた2期のアクセス駅としてうめきた新駅を整備することが計画された。
うめきた新駅は大阪駅とは独立した駅として工事が進められたが、JR西日本は2020年3月、大阪駅の西側に新しい改札口を整備し、うめきた新駅と大阪駅の改札内を連絡通路で結ぶことを発表。うめきた新駅は営業上、大阪駅構内の地下ホームとして扱われることになった。
梅田貨物線の地下線への切替は年明けにも行われる見込み。その後、2023年春のダイヤ改正にあわせて西口・うめきた地下口の両改札口とうめきた新駅施設の使用が始まる予定だ。うめきた2期の地上部の整備やまちづくりはそのあとになる。2031年には大阪(うめきた新駅)~JR難波・南海新今宮を結ぶ新線「なにわ筋線」が乗り入れる予定だ。
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