東海道・山陽・九州新幹線のネット予約「値上げ」年会費の元取るための乗車回数は?



JR東海・JR西日本・JR九州の3社は5月30日、東海道・山陽・九州新幹線のネット予約・チケットレスサービス「エクスプレス予約」「スマートEX」の価格体系を見直すと発表した。所定運賃・料金からの割引額を縮小し、実質的に値上げする。

クレーンで空中に引き上げられた東海道・山陽新幹線のN700S。【画像:京翔九彩/写真AC】

エクスプレス予約は「EX予約サービス」「EX予約サービス(往復割引)」「e特急券」を対象に見直しを実施。普通車指定席とグリーン車は所定の運賃・料金からの割引を縮小して実質値上げする。普通車自由席は現在と同額に据え置く。

東海道・山陽新幹線の区間ではシーズン別料金として「通常期」「閑散期」「繁忙期」「最繁忙期」を設定。通常期を基本に閑散期は200円引き、繁忙期は200円増し、最繁忙期は400円増しになる。「のぞみ」「みずほ」利用時には一般の特急券と同額の加算額を適用する。

東海道新幹線・東京~新大阪で「のぞみ」普通車指定席(通常期)を利用する場合、所定運賃・料金の合計は1万4720円。EX予約サービスを使うと、現在は1100円安い1万3620円で利用できる。価格体系見直し後のEX予約サービスは1万4230円で、610円の値上げ。所定運賃・料金からの割引額は490円に縮小する。

おもな区間の所定運賃・料金とEX予約サービス(現行額・改定額)の比較。【画像:JR東海・JR西日本・JR九州】

エクスプレス予約は年会費1100円の有料会員制。東京~新大阪で「のぞみ」普通車指定席を利用する場合、現在は年間に1回でも乗れば元が取れるが、見直し後は3回以上乗らないと元が取れない計算になる。ほかの区間でも年会費の元を取るためには年間3~4回程度乗る必要がある。

エクスプレス予約より割引額は小さいが年会費無料のスマートEXは、「スマートEXサービス」「スマートEXサービス(往復割引)」を対象に見直し。利用区間に山陽新幹線が含まれる場合、「のぞみ」「みずほ」の普通車指定席・グリーン車の利用時に加算額を一般の特急券と同額に改定し、最大で420円高くなる。東海道新幹線・東京~新大阪で完結する区間と九州新幹線・博多~鹿児島中央で完結する区間は、現在と同額に据え置く。

山陽・九州新幹線の新大阪~鹿児島中央で「のぞみ」「みずほ」普通車指定席を利用する場合、所定運賃・料金(通常期)の合計は2万3050円。スマートEXサービスを使うと現在は620円安い2万2430円になる。見直し後は2万2850円で420円の値上げ。割引額が200円に縮小される。

おもな区間の所定運賃・料金とスマートEX予約サービス(現行額・改定額)の比較。【画像:JR東海・JR西日本・JR九州】

このほか、EX予約サービス・スマートEXサービスともに、東京~品川と京都~西明石の各駅相互間の乗車で鉄道駅バリアフリー料金として10円が加算される。

一方、東海道新幹線では乗車日28日前までの予約で「のぞみ」を割引価格で利用できる「EX早特28ワイド」を新たに設定する。東京・品川~新大阪の場合、所定の運賃・料金より2480円安い1万2240円。「のぞみ」を利用する現在の割引商品で最も安い「EX早特21ワイド」と比べても130円安くなる。

価格体系の見直しは2023年秋をめどに実施される予定。3社は実施時期など詳細について、決定次第案内するとしている。

エクスプレス予約は2001年、東海道新幹線でサービス開始。昨年2022年6月までにサービスエリアが東海道・山陽・九州新幹線の東京~鹿児島中央に拡大した。スマートEXのサービスは2017年から始まっている。

3社によると、新幹線とホテルや旅先での交通手段、観光プランなどの旅行全体をシームレスに予約、決済できるサービス「EX-MaaS(仮称)」(仮称)を2023年秋から導入する計画。乗車日の約1年前から指定席を申し込めるようにするなどのサービスの充実も予定していることから、これを機に新たな価格体系に移行するという。

《関連記事》
博多南線の特急料金「初の値上げ」山陽新幹線の回送線を活用した通勤路線
東海道・山陽新幹線の3列席が追加料金で「2列席風」 ビジネス車サービス拡充