日高本線・苫小牧~鵡川間は利用者増加 JR北海道の線区別収支、2019年度も全線赤字



JR北海道は6月8日、2019年度の各線区別の収支状況を発表した。すべての線区が赤字で、全線区合計の営業損益は551億8300万円の損失。前年度2018年度に比べ2億2100万円悪化した。

日高本線を走る普通列車。【画像:まこりげ/写真AC】

営業収益は前年度に比べ8億5100万円減少し、774億3000万円。新千歳空港へのアクセス客の増加や運賃値上げのほか、2018年に発生した台風21号や北海道胆振東部地震による利用者の減少からの回復もあり、2019年12月までは前年度を上回っていた。しかし年度全体では新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少した。

営業費用は前年度より6億3900万円減の1326億1300万円。線路や新幹線の電気設備などの修繕が増加したものの、少雪のため踏切や駅構内の除雪が減少し、車両の減価償却費も減少した。

線区別では全線区が赤字だったものの、札幌圏(札沼線の桑園~北海道医療大学間と函館本線の小樽~札幌~岩見沢間、千歳・室蘭本線の白石~苫小牧間)の営業損益は前年度に比べ4億9500万円改善され、22億6000万円の損失。北海道新幹線・新青森~新函館北斗間も前年度より2億2700万円改善されて93億4700万円の損失だった。

1日の平均通過人員(旅客輸送密度)は、全線区あわせて4926人で、前年度に比べ182人の減少。最も大きかった線区は函館本線・小樽~札幌間の4万5565人で、これに千歳・室蘭本線の白石~苫小牧間(4万5232人)、函館本線・札幌~岩見沢間(4万1284人)と札幌圏の線区が続いた。

輸送密度が最も小さかったのは、今年2020年5月7日付けで廃止(列車の運転は4月17日まで)された札沼線の北海道医療大学~新十津川間で71人。これに根室本線・富良野~新得間(一部バス代行、82人)と日高本線・鵡川~様似間(バス代行、104人)が続いている。

輸送密度はほぼすべての線区で前年度を下回っているが、日高本線・苫小牧~鵡川間の輸送密度は前年度より66人増えて528人になった。営業損益も3700万円改善されて3億3100万円の損失だった。沿線自治体がJR北海道と協力して行っている需要喚起策の一つとして通学定期券の助成を行い、通学客が増えたためとみられる。

また、札沼線・北海道医療大学~新十津川間は前年度に比べ9人増えており、廃止直線の「お名残乗車」で利用者が若干増えたとみられる。