JR東海「315系」内装デザイン公表 在来線普通列車の新型、国内初の冷房制御も



315系の外観イメージ。【画像:JR東海】

JR東海は5月18日、在来線の普通列車向けの新型車両として導入を計画している315系電車について、内装デザインや車内設備の詳細を公表した。

コンセプトは「優しく安心感のある快適な移動空間」。バリアフリー設備の充実やセキュリティの強化、冷房機能の向上、座り心地の向上などを目指す。

座席は従来車両の211系電車に比べ、一人あたりの座席幅を1cm拡大。腰への負担が少ない理想的な姿勢をサポートする座席形状にするという。背もたれにはくぼみを設け、色の濃淡を付けることで座席スペースを明確化する。透明ガラスを上部に採用した大型の袖仕切りを座席端部に設置する。

315系の車内イメージ。【画像:JR東海】

バリアフリー設備は、全車両に車椅子スペースを設置。車椅子対応トイレも全編成に設置する。また、優先席の床面などの色分けや車椅子スペースの床面表示も実施。車両の床面を低くし、さらに乗降口の端をホーム側に傾けることで車両床面とホームの段差を縮小する。

このほか、カラーユニバーサルデザインに対応したフルカラー液晶ディスプレイの車内表示器を設置し、駅の階段位置や運行情報などを表示する。セキュリティ面では、車内防犯カメラを1両につき5カ所、非常通話装置を1両につき3カ所設置する。

優先席付近のデザイン。【画像:JR東海】

車椅子スペース付近のイメージ。【画像:JR東海】

冷房装置は211系に比べ、冷房能力を約3割向上させる。制御方式は211系が自動制御なのに対し、315系は自動制御に加え乗務員による手動補正機能や、人工知能(AI)による自動学習・制御最適化機能も搭載。温度や湿度、乗車率などのデータを地上のサーバーに送信し、サーバー内のAIで最適化した冷房制御を実現する。AIによる自動学習・制御最適化機能は国内初の導入という。

車内は空間の広がりによる開放感を感じられるよう天井を高くし、床面の色を中から外に向かって色を濃くするグラデーションにする。窓ガラスは赤外線・紫外線を99%カットする遮熱・遮光ガラスを採用し、カーテンを不要にする。

315系はJR東海が保有する普通列車用の電車のうち、老朽化が進む211系・213系・311系の置き換えを目的に導入される新型車両。本年度2021年度から2025年度にかけ352両が導入される計画だ。

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