指宿枕崎線「最南端の終着駅」枕崎市で「過去・現在・未来」鉄道展 新駅舎10周年



鹿児島県枕崎市は8月11日から、文化資料センター南溟館(枕崎駅から徒歩7分)で特別企画展「果ての鉄道展」を開催する。指宿枕崎線の開通60周年と枕崎駅の駅舎完成10周年にあわせた企画。

指宿枕崎線の終点・枕崎駅。【画像:ジョーナカ/写真AC】

JR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS銀河」のデザインなどを手がけた建築事務所「イチバンセン」の川西康之さんが企画を統括し、JR九州などが協力する。世界・過去・現在・未来のエリアに分け、過去の写真や映像を公開。鉄道が枕崎市に到達した経緯や、鉄道が同市にもたらした効果を示すという。

また、沿線のラ・サール学園の生徒らとともに考えた未来の鉄道の姿を模型で表現して展示。薩摩半島の鉄道や公共交通が置かれている厳しい現状を分かりやすく説明するパネル展示も行うという。

会期は8月11日~10月31日で、観覧料は一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。

「果ての鉄道展」の展示イメージ。【画像:川西康之・イチバンセン/nextstations/枕崎市】

枕崎駅は1931年、南薩鉄道(のちの鹿児島交通枕崎線)の駅として開業。当時は現在地から100mほど北寄りにあった。60年前の1963年には国鉄(現在のJR九州)の指宿枕崎線も枕崎駅に乗り入れ、2路線の接続駅に。しかし1983年の水害で鹿児島交通枕崎線の一部区間が不通になり、翌1984年にそのまま廃止されている。

これにより枕崎駅は指宿枕崎線のみ乗り入れる行き止まりの終着駅に。1987年の国鉄分割民営化でJR九州が引き継いだ。2006年には現在地に移転し、10年前の2013年から新駅舎の使用が始まった。

指宿枕崎線は薩摩半島の東部から南部を通り、鹿児島中央~指宿~枕崎の87.8kmを結ぶ。指宿駅から3駅目の西大山駅は、日本の普通鉄道の駅としては最南端に位置し、その先にある終点の枕崎駅は最南端の始発・終着駅になる。鹿児島中央寄りは鹿児島市の通勤圏で利用者が多いのに対し、枕崎寄りは利用者が少ない。

1日の平均通過人員(旅客輸送密度)は国鉄分割民営化時の1987年度で鹿児島中央~喜入が8253人、喜入~指宿が3687人、指宿~枕崎が942人。コロナ禍前の2018年度では鹿児島中央~喜入が8555人で300人ほど増えた。一方、喜入~指宿は2537人で1000人以上の減少。指宿~枕崎は291人でJR九州発足時の3分の1以下まで落ち込んでいる。

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