阿武隈急行10月31日に全線再開へ 昨年の台風19号で被災、一時は廃止の話も



阿武隈急行は10月8日、運休中の阿武隈急行線・富野(福島県伊達市)~丸森(宮城県丸森町)間15.4kmについて、10月31日から営業運転を再開すると発表した。

10月31日に全線再開する阿武隈急行線。【画像:こうの/PIXTA】

再開初日の下り列車(丸森方面)は、梁川11時21分発の丸森行きが復旧後の初列車に。上り(富野方面)は丸森10時42分発の梁川行きが初列車になる。これより前の列車は運転しない。翌11月1日以降は上下線とも始発からダイヤ通りの運行になる。

阿武隈急行線は、東北本線の福島駅(福島市)と槻木駅(宮城県柴田町)を阿武隈川沿いのルートで結ぶ54.9kmの鉄道路線。福島県や宮城県、福島交通などが出資する第三セクターの阿武隈急行が運営している。昨年2019年10月の台風19号の影響で、福島・宮城の県境部を中心に土砂流入や路盤流失などの大きな被害が発生し、富野~丸森間が長期運休となった。

同年11月には、宮城県の村井嘉浩知事が定例記者会見で「別の形で足は確保することを大前提に、経営状況を改善する方法はないだろうかを考えなければならない時期に来ています」として鉄道廃止の可能性にも言及したが、最終的に鉄道を存続して復旧させることに。今年2020年6月には列車を運転できる状態となり、客を乗せない回送列車を運転して点検・調査を行っていた。

阿武隈急行線の平均通過人員(旅客輸送密度)は、国鉄丸森線の丸森~槻木間を阿武隈急行が引き継いだ1986年度が1207人。福島~丸森間が延伸開業した1988年度には1753人になり、1993年度には2351人まで膨れあがった。それ以降はほぼ減少傾向に。2006年度以降はおおむね1700~1800人台の横ばいとなっている。2017年度は1764人。