JR東海が新型車両「315系」導入 残り8両、国鉄時代の車両が消滅へ



315系のイメージ。【画像:JR東海】

JR東海は1月22日、新型車両の315系電車を導入すると発表した。同社の発足前後に導入された電車の置き換え用。残り8両となった国鉄時代の電車も引退する。

315系は在来線の普通列車用として開発、製造される新型の電車。安全性や安定性の向上を目指す。最高速度は130km/h。

JR東海の在来線車両では初めて非常走行用蓄電装置を搭載。停電時などに最寄り駅まで走ることができるようになる。自動列車停止装置(ATS-PE)やモーターを動かすための電力変換装置は2重系統化を実施。車両~地上間のデータ通信装置を導入してメンテナンスに活用するほか、台車などの振動を検知する装置も搭載する。

台車は次期特急車両として試験走行中のHC85系特急型ハイブリッド車と同じ構造の台車を採用して乗り心地を向上させる。電力変換装置にはSiC素子を導入するなどして、消費電力量を従来型電車の211系に比べ約35%低減する。

車内の座席はロングシート。フルカラー液晶ディスプレイの案内表示装置を設置する。すべての車両に車椅子スペースを設けるほか、全編成に車椅子対応トイレを設置。防犯カメラは1両につき5カ所に設置する。室内灯とヘッドライトはLEDを採用する。

315系は2021年度から2025年度にかけて352両を新製し、名古屋や静岡のエリアを中心に中央本線や東海道本線、関西本線などに順次導入する計画。製造費は付帯工事費を含め約720億円になる。

JR東海は315系の導入により、老朽化した211系電車と213系電車、311系電車を置き換える計画。211系と213系は国鉄末期からJRの初期にかけて製造され、311系は1987年の国鉄分割民営化後に製造されたJR東海の車両だ。

JR東海が現在保有している211系と213系は大半が同社の発足後に製造された車両だが、211系のなかにはJR発足後に製造されたロングシートの5000番台のほか、国鉄時代の1986年10月に完成したセミクロスシート車の0番台8両(4両編成2本、K51・K52編成)も含まれており、関西本線などで運用されている。

JR東海は2016年3月、国鉄時代に導入された気動車をすべてJR発足後の車両に置き換えており、国鉄時代に導入された電車も211系のK51編成とK52編成だけになった。315系の導入で211系が引退すると、JR東海から国鉄時代に製造された車両がすべて引退することになる。

315系と211系の比較。【画像:JR東海】