鉄道路線の長期運休区間まとめ(2025年10月1日)



2025年9月は山陰本線が2年ぶりに全線の運転を再開。8月の水害で運休した路線も順次再開している。根室本線の一部は9月の大雨の影響で大きな被害が発生して一部運休しているが、10月中に再開の予定。

災害などで長期運休中のおもな鉄道路線は次の通り(2025年10月1日時点、9月中に再開した路線を含む)。

※おもに「運休から1カ月以上が経過した路線」「1カ月以上運休する可能性があると考えられる路線」を掲載
※貨物運送の長期運休は除く
※鉄道事業の廃止手続きは行われていないがバス高速輸送システム(BRT)への転換が完了している日田彦山線・添田~夜明は割愛

《再開》JR北海道:宗谷本線

運休区間:幌延~稚内
運休距離:60.0km

2025年8月の豪雨の影響で路盤流出や道床流出が発生。運休区間を含む旭川~稚内で代行バスが運行されていた。9月9日夜に特急「サロベツ3号」のみ運行を再開し、9月10日始発から通常ダイヤで全面的に再開した。

JR北海道:根室本線

運休区間:池田~白糠
運休距離:76.8km

2025年9月の大雨の影響を受け複数の場所で路盤流出や道床流出など大きな被害が発生。特急「おおぞら」に対応した代行バスが帯広~釧路で運行されているが、高速道路経由で池田駅と白糠駅には停車しない。10月5日の始発から再開する予定。

路盤流出などの被害が発生した根室本線。【画像:JR北海道】

JR東日本:津軽線

運休区間:蟹田~三厩
運休距離:28.8km

2022年8月の大雨で路盤流出などの被害が発生。代行バスの運行や乗合タクシーへの振替輸送が行われている。なお、蟹田~新中小国(信)を通る貨物列車は運行されている。

JR東日本と沿線自治体は鉄道を廃止して新たな自動車交通に転換することで合意しており、2026年度には鉄道事業の廃止手続きが行われる見込み。

《再開》JR東日本:花輪線

運休区間:鹿角花輪~大館
運休距離:37.2km

2025年8月の大雨の影響で線路設備の流出などの被害が発生。9月1日から代行バスの運行と高速バスへの振替輸送が実施されていたが、9月26日の始発列車から再開した。

秋田内陸縦貫鉄道:秋田内陸線

運休区間:上桧木内~角館
運休距離:28.3km

2025年8月の大雨の影響で複数の大きな被害が発生。9月1日から代行バスが運行されている。9月中旬の再開が見込まれていたが、想定より工期が延びたため10月中旬の再開見込みに延期された。

JR東日本:陸羽東線

運休区間:鳴子温泉~新庄
運休距離:49.2km

2024年7月の大雨で盛土崩壊などの被害が発生。代行バスが運行されている。2025年9月から復旧工事に着手したが再開時期は未定。

JR東日本:陸羽西線

運休区間:新庄~余目
運休距離:43.0km

陸羽西線のトンネルに近接する道路トンネルの工事に伴い2022年5月から全線運休中。代行バスが運行されている。当初は2024年度中の再開を予定していたが道路トンネル工事が難航し、2026年1月16日から運転を再開する。

JR東日本:米坂線

運休区間:今泉~坂町
運休距離:67.7km

2022年8月の豪雨の影響で橋梁の崩落など甚大な被害が発生。代行バスが運行されている。JR東日本は自社単独での復旧・運転再開は困難との考えを示しており、上下分離方式の導入や第三セクター化、バス転換も検討されている。

いすみ鉄道:いすみ線

運休区間:大原~上総中野
運休距離:26.8km

2024年10月に発生した脱線事故の影響で全線運休中。代行バスが運行されている。いすみ鉄道は2027年秋ごろの再開を予定している。

大井川鉄道:大井川本線

運休区間:川根温泉笹間渡~千頭
運休距離:19.5km

2022年9月の台風の影響で甚大な被害が発生。運休区間を含む家山~千頭で代行バスとコミュニティバスが運行されている。2029年ごろの再開が見込まれている。

黒部峡谷鉄道:本線

運休区間:猫又~欅平
運休距離:8.3km

2024年1月に発生した能登半島地震の影響で橋梁が損傷。2026年中の工事完了を目指しているが運転再開時期は未定。

広島電鉄:本線・皆実線

運休区間:稲荷町~的場町~比治山下
運休距離:1.2km

2025年8月3日の駅前大橋ルート開業に伴う運行ルートの変更で従来の運行系統が通らなくなり休止中。2026年春に再開して循環系統の電車が新たに運行される予定。

駅前大橋ルート(左)に入って広島駅に向かう5系統の電車と休止中の軌道(正面)。【撮影:草町義和】

JR西日本:美祢線

運休区間:厚狭~長門市
運休距離:46.0km

2023年6~7月の大雨の影響で橋梁崩落などの被害が発生。代行バスが運行されている。JR西日本と沿線自治体は鉄道を廃止してバス高速輸送システム(BRT)に転換する方向で合意している。

《再開》JR西日本:山陰本線

運休区間:人丸~滝部
運休距離:21.6km

2023年6~7月の大雨の影響で橋梁が傾斜するなどの被害が発生。運休区間を含む長門市~小串で代行バスが運行されていたが、2025年9月27日に再開した。

《再開》JR九州:日豊本線

運休区間:霧島神宮~国分
運休距離:12.7km

2025年8月の大雨の影響で築堤崩壊が発生。代行バスが運行されていたが、9月19日の夜から運転を再開した。

JR九州:肥薩線(2020年7月~)

運休区間:八代~人吉~吉松
運休距離:86.8km

2020年7月の豪雨の影響で橋梁が流出するなど甚大な被害が発生。八代~葉木と一勝地~人吉で代行バスが運行されている。これ以外の区間では代行輸送は行われていない。

八代~人吉の51.8kmは上下分離方式の導入を条件にした復旧が計画されており、JR九州は2033年度の再開を目指している。人吉~吉松35.0kmの扱いは未定。

JR九州:肥薩線(2025年8月~)

運休区間:吉松~隼人
運休距離:37.4km

2025年8月の大雨の影響で築堤崩壊が発生。9月1日から代行バスが運行されている。JR九州は運転再開まで時間がかかる見込みとしており、2025年内の再開は困難とみられる。

くま川鉄道:湯前線

運休区間:人吉温泉~肥後西村
運休距離:5.8km

2020年7月の豪雨の影響で橋梁が流出するなど甚大な被害が発生。代行バスが運行されている。上下分離方式の導入を条件にした復旧が決まっており、現在工事中。2026年上半期には再開の見込み。

《再開》肥薩おれんじ鉄道:肥薩おれんじ鉄道線

運休区間:八代~日奈久温泉
運休距離:10.1km

2025年8月の大雨の影響で土砂流入や路盤流出が発生。代行バスが運行されていたが、9月27日に運転を再開した。

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