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新型車両が導入されると、それまで使われてきた従来車両が引退する。引退が近くなると、その車両の特徴を挙げて引退を惜しむ声も聞かれるようになる。

かつて「憎まれ者」だったDD51形。【撮影:草町義和】

しかし、その従来車両が新型車両として登場したころは、必ずしも歓迎一色ではなかった。むしろ「憎まれ者」扱いだったことが多かったかもしれない。理由は簡単。従来車両もデビュー当時は新型車両であり、それまでの従来車両を引退に追いやったからだ。

たとえば、1960~1970年代に製造された国鉄DD51形ディーゼル機関車。このころ国鉄は「動力近代化」の計画に基づき、路線の電化やディーゼル機関車・気動車の導入によって蒸気機関車の廃車を進めていた。DD51形も動力近代化計画に基づき開発された、非電化幹線向けのディーゼル機関車だった。

各地の蒸気機関車はDD51形に追い立てられるかのように順次引退し、数を減らしていった。そのため蒸気機関車は珍しい乗り物になり、その希少価値から蒸気機関車を撮りに行く人が急速に増えた。いわゆる「SLブーム」だ。

動力近代化計画が進行中の時代だったから、蒸気機関車がけん引するはずの列車でも、いつのまにかDD51形などのディーゼル機関車に置き換えられていたり、けん引機を急きょディーゼル機関車に変更したりということもあった。蒸気機関車の撮影が目的で遠出したのに、目の前に現れたのがディーゼル機関車であれば、ガッカリしてしまう。ブームに興じる人たちにとってDD51形は、「蒸気機関車を引退に追いやる憎い存在」だった。

あのブームから数十年が過ぎ、DD51形も老朽化による新型機関車への交代や鉄道貨物輸送の衰退、機関車が客車をけん引する列車の減少などで数を減らし、希少価値が高まった。いまでは重厚ないでたちと大きなエンジン音に魅力を感じ、DD51形を目当てに写真を撮りに行く人も少なくない。

貨物列車をけん引するDD51形。【画像:KUZUHA/写真AC】
JR西日本の14系客車「サロンカーなにわ」をけん引するDD51形。【画像:H.Motti/写真AC】
DD51形のトップナンバー1号機。第1次試作形で、のちの量産機とはデザインが異なる。【撮影:草町義和】

今年2020年には、JR貨物のDD51形が貨物列車の運用から引退する見込み。ほかにJR東日本とJR西日本のDD51形もわずかに残っているが、現在は定期列車での運用はなく、臨時列車や工事資材運搬用の列車でしか使われていない。

そう遠くない時期、DD51形が完全引退する日がやってくると思われるが、そのときも引退を惜しむ声であふれることになるのだろうか。

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