山形新幹線の正常化「めど立たず」E8系さらに1編成で故障発見、直通3往復に拡大へ



E8系電車の故障と山形新幹線の直通運転中止・減便について、JR東日本は7月9日、現在の調査経過と当面の対応方針を発表した。E8系は1編成の故障が新たに発見されており、正常化のめどは立っていない。

山形新幹線「つばさ」で運用されているE8系。【画像:天ぷらまんじゅう/写真AC】

E8系は昨年2024年3月にデビューした山形新幹線「つばさ」用の新型車両。今年2025年6月17日、合計4編成が補助電源装置の故障により相次いで走行不能になった。このためE8系は単独での運転を中止している。

補助電源装置は半導体素子の損傷により故障したことが分かっている。JR東日本によると、半導体素子が損傷した原因は現在も特定できていない。さらに車両基地に留置中のE8系1編成でも補助電源装置の故障が発見されたという。同社は「引き続き気温などの環境的要素を含め、あらゆる観点から鋭意原因究明を行い、必要な対策を講じてまいります」としている。

「やまびこ」(奥)との併結運転により東北新幹線に乗り入れている「つばさ」(手前)。【画像:たもぞう/写真AC】

「つばさ」は通常、東北新幹線の東京~福島で10両編成の「やまびこ」と併結して17両編成で走り、東北新幹線~山形新幹線の直通運転を行っている。今回のE8系の故障を受け、直通運転は1往復を除き中止。福島駅で山形・新庄方面への折り返し運転を行っている。山形新幹線の福島~新庄でも一部の「つばさ」が運休している。

JR東日本は7月19日以降、東北新幹線~山形新幹線の直通「つばさ」を現在の1往復から3往復に拡大する方針。ただし使用できる車両が少ないため、山形新幹線の福島~山形は運行本数が減少する見込みだ。一方、山形新幹線内で留置しているE8系を深夜時間帯に東北新幹線内へ順次回送し、東北新幹線を17両編成で運転する列車を増便。これにより座席数を増やす。

JR東日本はE8系故障の原因究明の見通しが立っていないとし、少なくとも7月中はこの体制で運行する方針。正常化は8月以降になる見込みだ。同社は「福島駅でのお乗り換えや車内の混雑など、多くのお客さまにご不便・ご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます」としている。

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