日本の路面電車で初めて超低床式を採用した熊本市電の9700形電車が一部引退する。熊本市交通局は9月13日、引退する車両の廃車処理業務委託を公告した。
引退するのは9700形の5編成のうち9702号と9703号の2編成。来年2025年1月ごろに車庫から搬出して業務委託先の解体作業場に運び込む。履行期限は2025年3月31日。
9700形は2車体連接の超低床電車。床を従来の路面電車より大幅に低くして停留場の乗降時に段差をなくし、バリアフリー化を図った。ドイツメーカーのアドトランツ(現在のボンバルディア・トランスポーテーション)が製造した台車や電気品と、新潟鉄工所(現在の新潟トランシス)が製造した車体を組み合わせた。
1997年に1編成(9701号)が完成して運行開始。日本の路面電車で超低床電車が導入されたのは、これが初めてだった。その後も1999年に9702号と9703号、2001年に9704号と9705号が製造され、合計5編成が導入された。
超低床電車の第1号となった9701号は故障のため2012年から運用を休止し、のちに9702号と9703号も運用を休止した。9701号は修繕されて休止から7年後の2019年に復帰したが、25年前の1999年に製造された9702号と9703号は休止が続いており、その去就が注目されていた。
熊本市電では新型の超低床電車として2400形が今年2024年中に導入される予定で、9月に1編成目となる2401号が一般に披露された。9700形が全長18.55mの2車体連節なのに対し2400形は全長21.35mの3車体連節で、定員も9700形の約1.5倍の112人に増強している。
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