東急電鉄「蒲蒲線」鉄道法規上の手続き開始 中目黒~京急蒲田は13分短縮



東急電鉄と羽田エアポートラインの2社は1月17日、東急多摩川線と京急空港線を連絡する新空港線(蒲蒲線)について、都市鉄道等利便増進法に基づく営業構想・整備構想の認定を国土交通大臣に申請した。これにより同線の鉄道法規上の手続きが始まった。

地下トンネル工事のイメージ(写真は現在の相鉄新横浜線)。【撮影:草町義和】

2社が申請したのは蒲蒲線の構想区間のうち、第1期区間になる東急多摩川線の矢口渡~蒲田の蒲田寄りから京急本線・空港線の京急蒲田駅付近まで。蒲蒲線の列車を運行する東急電鉄が営業主体として営業構想認定を申請し、蒲蒲線の整備主体となる羽田エアポートラインが整備構想認定を申請した。

東急電鉄の申請概要などによると、営業距離は連絡線区間の0.8km。営業上、矢口渡~蒲田の蒲田寄りは既設の東急多摩川線の地下化(連絡施設)で、蒲田~京急蒲田が地下新線(連絡線)の扱いになる。運行区間は渋谷方面~多摩川~蒲田(東急線)~京急蒲田駅付近。東急多摩川線と蒲蒲線の直通列車を運行するほか、一部の列車は多摩川駅から東横線への乗り入れを想定しているという。

東急電鉄が発表で示した所要時間は中目黒~京急蒲田駅付近が約23分で、いまより約13分の短縮。自由が丘~京急蒲田駅付近は約15分で、約22分の短縮を見込む。渋谷~京急蒲田の所要時間は示していない。

羽田エアポートラインの申請概要によると、鉄道の種類は普通鉄道で、線路延長は連絡線と連絡施設をあわせて約1.7km。複線で整備する。整備期間は2025年度下期~2041年度末を予定している。概算事業費は約1250億円。

既設の東急線(ピンク)と蒲蒲線の第1期区間として整備される連絡線・連絡施設(赤)。【画像:羽田エアポートライン】

都市鉄道等利便増進法は、短絡線の整備など既存の都市鉄道ネットワークを活用して利便性の向上を図る事業を対象にした法律。国と地方公共団体は同法に基づく事業に対し、事業費の3分の2を補助する。

営業構想・整備構想の認定を受けた場合、次の手続きは速達性向上事業の認定になる。速達性向上事業の認定を受けると、東急電鉄は鉄道事業法に基づく第2種鉄道事業許可を受けたとみなされ、羽田エアポートラインも第3種鉄道事業許可を受けたとみなされる。その後は工事施行認可を経て工事に着手する流れだ。

蒲蒲線が構想されている区間は矢口渡駅から京急空港線の大鳥居駅までだが、東急電鉄と羽田エアポートラインは矢口渡~京急蒲田の第1期区間の事業者として営業構想・整備構想の認定を申請した。第2期区間の京急蒲田~大鳥居は東急線と京急線で軌間が異なるといった技術的課題もあり、事業方式を含め事業化のめどが立っていない。

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