国土交通省は8月27日、来年度2025年度予算概要要求の概要を発表した。鉄道局関係は合計1164億円で前年度の1.09倍。「都市鉄道ネットワークの充実」枠では、新空港線(蒲蒲線、東京都大田区)の補助金を新たに盛り込んだ。

新たに計上されたのは都市鉄道利便増進事業(速達性向上事業)の補助金。事業費ベースで9000万円、国費ベースでは3000万円になり、蒲蒲線の調査などに充てられる。国交省が蒲蒲線に関係する事業費を概算要求で計上したのは、これが初めてだ。
蒲蒲線は東急多摩川線の矢口渡駅と京急空港線の大鳥居駅を結ぶ約4kmの新線構想。全線ほぼ地下トンネルで整備される。完成した場合、約800m離れた蒲田駅と京急蒲田駅が鉄道で接続。東急東横線や東急多摩川線、京急空港線などとの相互直通運転により東京都北西部・埼玉県南西部と羽田空港のアクセス向上を図る。
現在は矢口渡駅から東急蒲田駅の地下を経て京急蒲田駅の地下に至る1.7kmを第1期区間として先行整備する計画。第1期区間の事業費は約1360億円(2022年6月時点)とされている。上下分離方式で整備する計画で、第三セクターなどの公的機関が整備主体となって整備し、鉄道事業者(営業主体)が整備主体から線路施設を借り入れて列車を運行する。2022年10月、大田区と東急電鉄が出資する羽田エアポートラインが整備主体の第三セクターとして設立された。


速達性向上事業は既存の都市鉄道施設のあいだを連絡する新線の建設事業。都市鉄道等利便増進法に基づき速達性向上事業として認定された場合、事業費は国と関係自治体がそれぞれ3分の1を補助し、残り3分の1は整備主体が資金調達する。この制度は相鉄線とJR線・東急線を接続する神奈川東部方面線(相鉄・東急新横浜線、2023年3月全線開業)で初めて適用され、蒲蒲線に適用されれば2例目になる。
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