国土交通省の北海道運輸局長は7月16日、札幌市交通事業振興公社が申請していた軌道事業の旅客運賃上限変更を認可した。これを受けて振興公社は札幌市電の運賃を12月1日に値上げする。

普通旅客運賃は現行200円のところ30円値上げの230円。定期旅客運賃は1カ月の場合、通勤が500円値上げの8690円で通学は60円値上げの5930円になる。貸切旅客運賃や1日乗車券なども値上げする。
改定率は普通旅客運賃(大人)が15%なのに対し、定期旅客運賃は通勤1カ月が6.1%、通学1カ月が1%。振興公社によると、利用頻度の高い客の定着を図るため、割引率を引き上げることで改定率を抑えたという。
札幌市電の収支は2022年度の場合、収入が16億4600万円だったのに対し支出は18億3900万円で1億9300万円の赤字。2025~2027年度の3年間推定では現行運賃のままなら8億4600万円の赤字だが、運賃改定により赤字額を2億8900万円に抑えることを見込む。

札幌市電は2020年4月から上下分離方式の経営体制に移行。振興公社が札幌市交通局から軌道設備を借りて路面電車を運行している。消費税率の引き上げによるものを除くと、札幌市電としては7年ぶりの値上げ。上下分離後の値上げは初めてだ。
振興公社によると、利用者数は上下分離前の見込みを下回る状況が続いており、電気料金の値上げや物価上昇による経費の増加も経営を圧迫。さらに施設使用料の増加が見込まれるほか、最低賃金の上昇や生産年齢人口の減少など人材確保の面でも楽観視できない状況になっていることから、運賃改定を実施することにしたという。
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