台湾高速鉄道「N700Sベース」新型車両、日立・東芝が1240億円で正式受注



日立製作所と東芝インフラシステムズの2社は5月18日、台湾高速鉄道を運営する台湾高速鉄路から新型の高速鉄道車両を受注したと発表した。受注額は約1240億円。

台湾高速鉄道向け新型車両のベースになるN700S(西九州新幹線)。【撮影:草町義和】

日立製作所や東芝、東芝インフラシステムズなどで構成される共同企業体が、N700S電車をベースにした高速車両144両(12両編成12本)を受注した。1編成の長さが約300mで、営業最高速度は300km/h。

ベースとなるN700SはJR東海が開発した東海道・山陽・九州新幹線と西九州新幹線の新型車両。1編成の車両数を柔軟に変えられるよう設計され、当初から地方の新幹線や海外への展開を考慮している。

日立製作所と東芝インフラシステムズによると、N700Sベースの新型車両は700T形より軽量化を図り、空力特性も優れている。炭化ケイ素(SiC)デバイスと走行風冷却システムを組み合わせた駆動システムを採用し、機器の小型軽量化と電力消費量削減を実現。停電時でも低速で自力走行できるよう、リチウムイオンバッテリーを搭載するという。

台湾高速鉄道の開業時に導入された700T形。【撮影:草町義和】

台湾高速鉄道は2007年に開業。台北~高雄の350kmを結ぶ。車両は東海道・山陽新幹線の700系電車をベースにした700T形が導入された。開業から10年以上が過ぎ車両の更新が必要になったことから、台湾高速鉄路は新型車両の導入を計画。今年2023年3月、日本の日立・東芝に発注することを決めた。車両は2026年から順次納入される予定だ。

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