台湾高速鉄道「新型車両」日立・東芝連合に発注へ 「N700S」ベース



台湾高速鉄道を運営する台湾高速鉄路は3月15日、日本の日立製作所・東芝連合に新型車両を発注することを取締役会で決議したと発表した。導入数は12編成で、購入金額は1240億9100万円。

台湾高速鉄道に導入されている700T形。【撮影:草町義和】

台湾高速鉄路によると、列車の稼働率や将来の交通量の増加傾向などを総合的に考え、2019年に新型車両の導入を計画。過去2回の入札ではメーカーが提示した価格と市場価格のギャップが大きく、入札書類の一部が要件を満たしていなかったことから不調に終わった。

昨年2022年3月に3回目の入札が実施され、高速鉄道の開発経験を持つ複数の企業が入札に参加。安全性や技術、運用、財務の観点から検討し、優先交渉権者との交渉を重ねた結果、日立・東芝連合からの購入を決めたという。

台湾高速鉄道は南港(台北市)~左営(高雄市)の348.5kmを結ぶ高速鉄道。2007年の開業時に東海道・山陽新幹線の700系電車をベースに開発した700T形電車(12両編成)が導入されている。

自由時報や中央通訊社などの現地メディアによると、新型車両はN700S電車をベースに開発。今年2023年前半にも正式に契約を締結し、契約から50カ月後の2027年半ばには運行を開始する見込みという。

台湾高速鉄道に導入される新型車両のベースになるN700S(西九州新幹線)。1編成の車両数を柔軟に変えられるのが特徴だ。【撮影:草町義和】

N700SはJR東海が開発した新幹線車両。1編成の車両数を柔軟に変えられるよう設計されており、当初から地方の新幹線や海外への展開を考慮しているのが特徴だ。東海道・山陽新幹線向けの車両(16両編成)が2020年7月にデビューし、2022年9月に開業した西九州新幹線には6両編成のN700Sが導入されている。

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