青春18きっぷ「通過利用できる他社線」変更 北陸新幹線の並行在来線分離で



JRグループは1月23日、全国のJR線の快速・普通列車が乗り放題の企画切符「青春18きっぷ」について、特例で通過利用できる他社線の区間を一部変更すると発表した。北陸新幹線・金沢~敦賀の延伸開業(3月16日)に伴う並行在来線の経営分離に対応する。

北陸新幹線の延伸に伴い経営分離される北陸本線の普通列車。【画像:よっちやん、/写真AC】

通過利用できる区間が変更されるのは、あいの風とやま鉄道線とIRいしかわ鉄道線。現在、あいの風とやま鉄道線は高岡~富山のみ通過利用できるが、3月16日からは通過利用区間を倶利伽羅~富山に拡大する。途中下車可能駅は従来通り富山駅と高岡駅のみ。倶利伽羅駅は途中下車可能駅にならない。

現在は金沢~津幡で通過利用できるIRいしかわ鉄道線は3月16日以降、金沢~津幡の通過利用特例を廃止。新たに津幡~倶利伽羅を通過利用できる区間にする。途中下車可能駅は津幡駅だけで、あいの風とやま鉄道線~IRいしかわ鉄道線の直通列車の利用が前提になる。

高山本線方面の各駅からあいの風とやま鉄道線・IRいしかわ鉄道線を経由して七尾線の各駅に向かう場合、3月16日以降は「青春18きっぷ」だけで利用できるようになる。一方、金沢駅からIRいしかわ鉄道線経由で七尾線の各駅に向かう場合、現在は「青春18きっぷ」だけで利用可能だが、3月16日以降はIRいしかわ鉄道線の運賃も別途払う必要がある。

北陸新幹線の敦賀延伸開業で経営分離される並行在来線(北陸本線・金沢~敦賀)は3月16日以降、原則として「青春18きっぷ」では利用できなくなる。ただしハピラインふくいが経営を引き継ぐ区間のうち、敦賀~越前花堂に限り通過利用できる特例が3月16日から新設される。途中下車可能駅は敦賀駅と越前花堂駅。

北陸本線(米原)・小浜線方面の各駅から敦賀駅やハピラインふくい線経由で越美北線の各駅に向かう場合、3月16日以降もハピラインふくいの運賃支払いは不要。敦賀駅から武生駅で途中下車したのち、越美北線の各駅に向かう場合は敦賀~武生と武生~越前花堂のハピラインふくいの運賃が必要だ。

いずれの区間も利用できる列車と座席は快速・普通列車の普通車自由席に限られる。

2024年3月16日以降、「青春18きっぷ」で通過利用できる特例区間(北陸エリア)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

このほか、特急列車が利用できる特例も一部変更される。石勝線・新得~新夕張は特急列車の普通車自由席を利用できるが、3月16日からは特急の全席指定席化に伴い、特急の普通車指定席の空席が利用できるように。また、室蘭本線・東室蘭~室蘭でも特急の普通車指定席の空席を新たに利用できるようになる。

「青春18きっぷ」の2024年春季版は2月20日から3月31日まで発売。3月1日~4月10日の期間、全国のJR線の快速・普通列車の普通車自由席とバス高速輸送システム(BRT)、JR西日本宮島フェリーを自由に乗り降りできる。発売額は従来通り1万2050円。「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」も従来通り2490円で発売される。夏季版と冬季版のスケジュールなどは発表されていない。

「青春18きっぷ」は2010年に東北新幹線・八戸~青森の延伸開業にあわせて並行在来線の経営が分離された際、ほかのJR在来線との連絡がなくなった八戸線・大湊線へのアクセスルートを確保するため、経営分離されて他社線になった区間を通過利用できる特例が設けられた。2015年にも北陸新幹線・長野~金沢の延伸開業でほかのJR線との連絡がなくなった氷見線・城端線・七尾線へのアクセスルートを確保するため、通過利用の特例を設定している。

今年2023年3月16日の北陸新幹の敦賀延伸開業では、越美北線がほかのJR在来線との連絡がなくなるほか、七尾線も従来の特例のままではアクセスルートがなくなるため、JRの対応が注目されていた。

《関連記事》
「青春18きっぷ」で乗れる列車・路線 昔は乗れたが「いまは乗れない」ケースも
青春18きっぷで「東京→北海道」39年ぶりに普通列車を乗り継いでみた