奈良医大新駅「近鉄も事業費負担」駅前に新アリーナ整備 関係3者が負担割合など合意



奈良県・橿原市・近鉄の3者は3月28日、医大新駅(仮称)の整備と同駅周辺のまちづくりに関する基本協定を締結し、費用負担の割合などで合意した。2030年度中の開業を目指す。

近鉄橿原線の列車。【画像:ポニー/写真AC】

医大新駅は近鉄橿原線の八木西口~畝傍御陵前、奈良県立医科大学(医大)付属病院の南側に整備する構想。新駅東側の医大施設跡地は渋滞対策として付属病院第1駐車場の拡張に使用する。また、新駅の西側を「新アリーナ」の建設予定地とする。

医大新駅と新駅周辺の整備イメージ。【画像:奈良県】

新駅の設置は奈良県の事業として実施し、全体事業費は約30億円の見込み。国の都市・地域交通戦略推進事業の補助を活用しつつ3者が負担する。負担割合は国が約26%、奈良県が約50%、橿原市が約13%。近鉄も全体事業費の9分の1(約11%)を負担する。駅周辺の整備事業は奈良県と橿原市が実施し、事業費も奈良県と橿原市が負担する。

医大新駅の負担割合イメージ。【画像:奈良県】

3者の基本協定締結式。【画像:奈良県】

医大新駅は医大のキャンパス移転計画を機に浮上。3者は2015年から新駅の整備に向け協議を開始したが、近鉄が新駅整備の条件として八木西口駅の廃止を挙げていたことから難航した。のちに近鉄が廃止方針を撤回し、2022年11月に3者と奈良県立医科大学が連携協定を締結。これまで測量調査や文化財調査、新駅利用者の需要予測、新駅の位置・構造の検討などを進め、関係者間での協議を重ねてきた。

一時は医大新駅の整備の条件として廃止が取りざたされていた八木西口駅。【あっか/photolibrary】

こうしたなか、奈良県が検討を進めていた新アリーナの整備候補地として、従来の橿原公苑に加え医大新駅西側の土地が浮上。昨年2024年11月に奈良県は医大新駅西側に新アリーナを整備する方針を発表していた。

奈良県は来年度2025年度から医大新駅の基本設計を進め、2030年度中の使用開始を目指すとしている。

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