阪急淡路駅の高架化「4年延長」「事業費1.4倍」に 大阪市が増額要因など明らかに



大阪市は阪急電鉄の京都線・千里線が合流する淡路駅付近の連続立体交差事業(連立事業)について、事業期間を4年延長する考えを3月11日までに明らかにした。全体事業費も従来の1.4倍以上になる。

阪急淡路駅付近で進む高架化の工事(写真は2017年)。【撮影:草町義和】

従来の全体事業費は1632億円だったが、橋梁工事の追加の安全対策などが必要になり、694億円増えて2326億円になる。これに伴い事業期間も従来より4年延び、高架切替を2028年度、事業完了は2031年度とした。

増額分は橋梁工事の安全対策などで381億円、基礎の構造変更や地中障害物の撤去などで210億円。これに人件費や資材費の高騰が加わる。

大阪市によると、2016年当時工事中だった新名神高速道路の橋桁落下事故を受け、東海道新幹線との交差橋梁の計画を変更することに。JR東海からの意見を踏まえ、橋梁本体構造の変更や設備の増設、電気設備の移設などを行うことにした。おおさか東線との交差部も作業時間が深夜の短時間に限られることから、大規模な架設工事を安全・迅速に進めるための設備を追加することにした。

また、想定していた地層と異なる部分があったことが現地の地質調査で判明。これに伴う基礎の構造変更や地中障害物の撤去、土壌汚染に伴う汚染土の撤去などで費用が膨れあがったという。

淡路駅付近の連立事業は、同駅を中心に京都線・千里線の合計7.1kmの線路を高架化するもの。吹田市内の1カ所を含む17カ所の踏切を解消し、崇禅寺・淡路・柴島・下新庄の各駅が高架駅に変わる。1991年度に国庫補助事業として採択。2004年度の都市計画決定を経て2007年度に事業認可を受けた。

阪急淡路駅付近の平面図。【画像:大阪市・阪急電鉄】
阪急淡路駅付近の縦断面図。【画像:大阪市・阪急電鉄】

当初計画では2009年度の高架切替、2012年度の事業完了を目指していたが、2003年度には用地買収に時間がかかるなどとして8年延期し、2017年度の高架切替と2020年度の事業完了に変更された。しかし、2015年度の段階でも23件の事業用地を取得できていなかったため、大阪市はさらに7年延期して2024年度の高架切替、2027年度の事業完了に変更していた。今回の変更で当初計画から19年の遅れになる。

大阪市によると、工事が最も遅れているのは、用地買収の難航で工程に4年の遅れが生じている下新庄駅周辺の工区。その他の工区の工程は、増額に伴う工程への影響が生じた場合でも事業完了の2031年度を越えることはないという。建設局の渡瀨誠局長は「コスト縮減や工程短縮の検討など、阪急電鉄とともに徹底したリスク管理に取り組む」としている。

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