阪急神戸線「川の上」武庫川新駅、具体化に向け合意 橋の架替で生まれた「空間」活用



武庫川新駅の位置。武庫川の上にホームを設け、両岸に改札など駅前空間を整備する。【画像:武庫川周辺阪急新駅に関する検討会】

阪急電鉄・兵庫県・尼崎市・西宮市の4者で構成される「武庫川周辺阪急新駅」(仮称、武庫川新駅)の検討会は9月3日、同駅の事業の具体化に向け連携することで合意したと発表した。あわせて武庫川新駅の検討報告書を公表した。

武庫川新駅は阪急神戸線の武庫之荘~西宮北口間に設けることが構想されている駅。ほぼ中間で交差する武庫川の上にホームを整備する。隣接駅からの距離は、尼崎市内の武庫之荘駅から約1.6kmで、西宮市内の西宮北口駅からは約1.7km。

報告書の計画案によると、ホームは武庫川橋りょうの上り線と下り線のあいだに設置するが、島式ホームではなく上下線のそれぞれにホームを設置。2面2線の「逆相対式」といえる構造にする。改札など駅前広場は東岸(尼崎市)と西岸(西宮市)の2カ所に設置。このほか、ホームドアやエレベーター、エスカレーターなどを整備する。

武庫川新駅の横断面図。2面2線の「逆相対式ホーム」を設ける。【画像:武庫川周辺阪急新駅に関する検討会】

利用者数については近隣の駅(JR立花・JR甲子園口・阪急西宮北口・阪急武庫之荘)からの転換数が検討され、2万2623人の転換が見込まれるとした。

事業費の概算は鉄道施設が約50億円。ほかに自転車駐車場の整備費として約5億円かかる。周辺道路の整備費は約5億円。国の都市・地域交通戦略推進事業として実施することが想定され、その場合は鉄道・自治体・国の3者が事業費を3分の1ずつ負担する。

「消極的」尼崎市が方針転換

阪急神戸線の武庫川橋りょう付近に新駅を設ける構想は戦前からあり、1942年に西宮市と瓦木村(現在の西宮市東部)が合併条件の覚書に「阪急武庫川西堤防への停留所設置」を努力目標として盛り込んだが、実現には至らなかった。

1990年代には、武庫川の改修事業に伴い阪急神戸線の武庫川橋りょうが架け替えられることになり、1998年に工事開始。2014年度に架替工事が完了した。このとき、従来の橋りょうの両側に新しい橋りょうを建設して従来の橋りょうを撤去したため、上下線のあいだに広い空間ができた。

上下線のあいだに空間が広がる阪急神戸線の武庫川橋りょう。【画像:Amateur/CC BY-SA 3.0、加工:鉄道プレスネット編集部/CC BY-SA 3.0】

この空間を活用して新駅を整備する構想が浮上し、2000年に旧瓦木村エリアの自治会などで構成される新駅の誘致促進協議会が発足。2012年度には阪急電鉄・兵庫県・西宮市の3者による検討会も設置された。

尼崎市は財政難などを理由に消極的な姿勢を示していたが、2013年度には駅の設置を前提とせずに検討する勉強会という認識で検討会に参加。今回、従来の方針を転換して新駅の具体化に向け合意した。

報告書によると、新駅を整備することで尼崎市の税収は年間約1億2200万円増加し、西宮市の税収も年間約2億円増える。将来人口は駅の有無にかかわらず尼崎市は減少傾向、西宮市は増加傾向だが、駅を整備した場合は尼崎市の人口減少が緩やかになり、西宮市では生産年齢人口が増加傾向に転じるという。

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