猪熊弦一郎『自由』3回目の修復へ 上野駅の壁画、平山郁夫のステンドグラスも



JR東日本の首都圏本部は5月20日、上野駅のグランドコンコースにある壁画とステンドグラスを修復、補修すると発表した。東京芸術大学が協力する。

3回目の修復が実施される上野駅中央改札の壁画『自由』。【撮影:草町義和】

修復するのは中央改札上の壁画『自由』。3回目となる今回の修復は、包括連携協定を締結している東京芸術大学の協力により修復する。修復の完了は本年度2025年度末の予定。自動券売機上のステンドグラス『ふる里 日本の華』も今年2025年夏ごろから補修作業に着手し、来年度2026年度中に再設置する予定だ。

自動券売機上のステンドグラス『ふる里 日本の華』も補修される。【画像:JR東日本】

『自由』は洋画家の猪熊弦一郎(1902~1993年)が制作したもので、1951年12月に披露された。幅約27m、高さ約6mで、制作費は当時の価格で500万円以上。生命保険会社や薬品会社、電機会社がスポンサーになり広告会社が企画した。上野駅が東北方面のターミナルであることから、スキーやリンゴ、秋田犬など東北の風物を主題にしている。これまでに2回修復されており、前回の修復は2002年だった。

壁画を企画した広告会社による雑誌広告(一部加工)。【出典:『宣伝』1952年3月号、総合宣伝社】

『ふる里 日本の華』は1985年の東北・上越新幹線の上野駅開業を記念して制作されたもの。このころ東京芸術大学の教授だった日本画家の平山郁夫(1930~2009年)が原画を描き下ろした。

『自由』『ふる里 日本の華』の設置位置。【画像:JR東日本】
上野駅グランドコンコースの現在のレイアウト(左)とリニューアル後のレイアウト(右)。【画像:JR東日本】

JR東日本は上野駅のリニューアルを推進しており、壁画・ステンドグラスの修復・補修はその一環。同社によると、このリニューアルではコンコースを拡幅するほか、みどりの窓口や有人改札などの配置を変更する。チケットサービスと訪日旅客向けサービスのゾーニングを明確に分けて利便性向上を図るという。あわせて耐震補強工事や防災設備整備工事も実施する。

《関連記事》
上野駅の地平13番線ホーム「映像体感空間」に かつて寝台特急「北斗星」など発着
上野東京ライン「川口駅に停車」ホーム増設、新駅舎・自由通路も整備 基本協定締結