宇都宮市は5月9日、ライトラインの西側延伸について、需要予測の速報値と概算事業費の試算値を明らかにした。車両は従来の想定より5編成多い11編成程度とし、概算事業費は物価高騰や車両増加などにより従来の見込みの1.75倍とした。

ライトラインの西側延伸は、宇都宮駅東口停留場から西へ延伸し、教育会館前停留場(仮称)まで約5km整備するもの。停留場は既設の宇都宮駅東口停留場を除き12カ所に新設する。
需要予測の前提条件となる沿線人口は、国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計(2023年12月)を採用。運行頻度はピーク時6分間隔、オフピーク時10分間隔とした。最高速度は40km/h。このほか、バス路線の一部について桜通り十文字付近を起終点とする再編を行い、乗継割引(100円引き)もあるものとした。この結果、平日1日あたりでは3万2000人程度の利用が見込まれるとした。
概算事業費は導入空間や施設計画の具体化に伴い試算。物価高騰の影響は労務資材単価で約1.25倍、車両単価で約2倍とした。また、道路交通の円滑化を図るための道路幅の確保や車両留置に必要な用地の取得を考慮。延伸に伴い導入する車両編成数は従来は5編成程度としていたが、運行サービスの充実を図るため6編成多い11編成程度とした。この結果、概算事業費は従来推定の400億円から約1.75倍の700億円程度を見込むとした。

宇都宮市は今後、栃木県芳賀町や運行事業者の宇都宮ライトレールと連携して運行計画や収支計画を取りまとめ、同時に今回明らかにした需要予測速報値の精度向上を図る。概算事業費も検討の深度化を図りながら施設計画や車両編成数を具体化し、試算値の精査を進める。これらの検討結果は夏ごろをめどに明らかにする考え。軌道法の特許に相当する軌道運送高度化実施計画は今年2025年内に策定する予定だ。
ライトラインは2023年8月に宇都宮駅東側の区間が開業。事業費は着工時点で約458億円とされていた。宇都宮市は2018年12月の時点で約172億円増加する可能性を把握したが、この時点では公表していない。2020年11月の市長選でLRT推進派の佐藤栄一市長が再選され、2カ月後の2021年1月に事業費が1.5倍に膨れあがることを公表した。
その後、朝日新聞宇都宮総局や下野新聞が宇都宮市に対し行政文書の開示請求を実施。同市が2018年12月時点で増額の可能性を把握していたことを示す文書が開示されて問題化した経緯がある。
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