宇都宮市は2月3日、ライトラインの宇都宮駅西側への延伸計画について、現在の検討状況や検討案、検討案に基づくイメージ動画などを公表した。宇都宮駅から西へ延びる道路の車線を減らし、ライトラインの導入空間を確保する。

ライトラインの西側延伸区間は、宇都宮駅東口停留場からJR線と立体交差したのち、大通りに沿って大谷観光地付近までの約9kmで構想されている。このうち教育会館付近までの約5kmが当面の整備区間として位置づけられている。事業費は従来の推定で税抜き約400億円程度。

宇都宮市が今回公表した資料によると、同市の道路体系を踏まえ、ライトラインの導入空間となる道路と環状道路の交差部で区切って三つに分割。都心環状線内側(宇都宮駅東口~裁判所前)を「第1区間」、都心環状線から内環状線まで(裁判所前~桜通り十文字)を「第2区間」、内環状線の外側(桜通り十文字~教育会館前)を「第3区間」と設定し、それぞれ関係機関との協議を行ってきた。

第1区間は、宇都宮駅東口停留場から宇都宮駅西口広場までは道路から外れた場所に高架橋を整備してJR線と立体交差。宇都宮駅西口広場から宮の橋交差点付近までは道路中央部に高架橋を設ける。道路の現在の車線数は片側2車線だが、ライトライン導入後は片側1車線に減る。

宮の橋交差点付近から裁判所前までは道路中央部に併用軌道を整備。車線数は現在の片側3車線から2車線減って片側1車線になる。一方ですべての交差点に右折レーンを設置して円滑な自動車交通の確保を目指す。また、バスの乗降や荷さばき作業ができるよう、本線とは別に停車帯を確保する。自転車走行空間は路肩を活用した車道混在の走行空間を整備する。


第2・3区間も道路中央部に併用軌道を整備。路肩を活用した車道混在の自転車走行空間も設ける。これにより第2区間は車線数が現在の片側3車線から片側2車線に減少するが、第3区間は現在の片側2車線を維持する。また、第3区間では車両の留置施設やパーク&ライド駐車場などを道路外に設置することを検討する。


停留場の構造は、第1区間の上河原・宮島町十文字・馬場町・県庁前・東武宇都宮駅前の5停留場(いずれも仮称)で1面2線の島式ホームを採用。効率的な空間活用とホーム上の滞留空間の拡大を図る。第2・3区間の裁判所前・新川・桜通り十文字・美術館前の4停留場(いずれも仮称)は2面2線の相対式ホームを採用。このうち裁判所前停留場は交差点を挟んだ千鳥配置が考えられている。護国神社前・教育会館前の2停留場(いずれも仮称)は1面2線の島式ホームを採用する。

第1区間のJR宇都宮駅西口停留場(仮称)は、現在のバス乗降スペースの北側に相対式ホーム2面2線の高架停留場として整備。停留場とその周辺の約5000平方mを交流広場として整備し、憩い・にぎわい空間の創出を図る。停留場施設は2階の歩行者デッキと同じ高さになり、高架上で軌道と歩行者デッキが踏切のように平面で交差する。



宇都宮市は今後、今年2025年内に軌道運送高度化実施計画を策定して軌道事業の特許申請を行う方針。同時に都市計画手続きを開始する。事業着手時期は今回明らかにしておらず、軌道運送高度化実施計画をとりまとめる過程で明らかにするとしている。宇都宮駅東口~教育会館前の開業時期はこれまで2030年代前半としていたが、今回の発表では2030年を目指すとして特定の年を示した。
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