熊本市電「上下分離」移行に向け実施計画を市議会提出 延伸区間「東町線」も



熊本市電の上下分離方式への移行と延伸を計画している熊本市は、2月19日に開会した市議会定例会に軌道運送高度化事業の実施計画を議案として提出した。

上下分離方式の導入が計画されている熊本市電。【撮影:草町義和】

市電の上下分離と延伸を実施するには、地域交通法に基づき軌道運送高度化事業の実施計画を申請して国土交通大臣の認定を受けなければならない。このため実施計画について市議会の議決が必要になる。

議案などで示された軌道運送高度化事業の概要によると、熊本市が軌道施設を整備して保有する軌道整備事業者に。新たに設立する一般財団法人の熊本市公共交通公社(仮称)を軌道運送事業者とし、熊本市公共交通公社が熊本市から軌道施設や車両を借り入れて市電を運行する上下分離方式を導入する。

現在の経営体制(左)と上下分離導入後の経営体制(右)。【画像:熊本市】

軌道運送高度化事業の実施路線は、既設路線が幹線(西区春日3丁目~中央区水道町)と水前寺線(中央区水道町~中央区国府1丁目)、健軍線(中央区国府1丁目~東区健軍3丁目)、田崎線(西区春日3丁目~西区春日2丁目)、上熊本線(中央区辛島町~西区上熊本2丁目)。これまで「自衛隊ルート」などと呼ばれていた延伸区間は東町線(仮称、東区健軍3丁目~東区東町4丁目)として盛り込んだ。

熊本市は2025年度からの上下分離方式の導入を図る方針。2024年度当初予算案では、上下分離方式への移行準備費用として熊本市公共交通公社への出捐金(6400万円)を新たに計上した。東山線は2029年度の一部開業、2031年度の全線開業を目指す。

延伸区間(東町線)のルート(一部単線案)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

新型の多両編成車両のイメージ。【画像:熊本市交通局】

このほか、熊本市電の開業100周年事業関係費(2100万円)や、老朽化した車両を更新する新型の多両編成車両導入事業(8億9056万5000円)も引き続き計上。多両編成車両は2024年度に導入する2編成を製造するほか、2025年度に導入する2編成の車体フレーム製作も実施する。

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