つくばエクスプレス線(TX)を運営する首都圏新都市鉄道は4月11日、新型車両を導入する考えを明らかにした。同日発表した中期経営計画に「新造車両(TX-4000系)の検討」を盛り込んだ。

首都圏新都市鉄道は2050年度までの経営方針をまとめた長期ビジョンを今年2025年7月に公表する予定。それに先立ち、長期ビジョンの実現に向けて2025~2029年度の5年間の方針を取りまとめた中期経営計画を策定した。設備投資の総額は5年間で合計660億円を見込む。
TX-4000系の検討は混雑緩和策の一環。現在のTXでは1編成6両の電車が運行されているが、混雑緩和策としてTX-4000系の検討に加え、8両編成化事業の推進とそれに対応した車両基地の増強などを盛り込んだ。
中期経営計画ではこのほか、各種設備や車両機器の更新、防災・セキュリティ対策の強化を盛り込んでいる。サービス面ではQRコードを活用した乗車券やクレジットカードなどによるタッチ決済の導入、「TXアプリ」の導入などを挙げている。
TXは2005年、秋葉原~つくばの58.3kmが開業。1日あたりの乗車人員は2005年度が15万700人だったが、コロナ禍が本格化する前の2019年度は2.6倍の39万5400人に膨れあがった。コロナ禍の影響で落ち込んだものの、2024年度は暫定値で過去最大の40万2000人に。中期経営計画は2029年度の1日あたり乗車人員を40万8000人と見込む。

混雑率は2005年度の107%に対し、2010年度は160%に悪化。その後は列車の増発などで146%(2012年度)まで下がったが、2013年度以降は悪化し続け、コロナ禍前の2019年度は171%に達している。
このため、首都圏新都市鉄道は現在の1編成6両を8両にして輸送力の強化を図ることを計画。2019年度から事業に着手し、2030年代前半の8両編成化を目指してホームの延伸工事を進めている。仮にピーク時の運行本数と輸送人員が2019年度と同じで、ピーク時の列車をすべて8両編成に置き換えた場合、混雑率は120%まで下がる。
中期経営計画はTX-4000系の導入時期には触れていない。8両編成化のための工事が完了する前に導入されれば、いったん6両編成で導入してから8両編成に増強することも考えられる。いずれにせよ8両編成化を見据えて開発、製造されることになりそうだ。
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