つくばエクスプレス線(TX)を運営する首都圏新都市鉄道は4月11日、国土交通大臣に鉄道旅客運賃の上限変更認可を申請した。

首都圏新都市鉄道が運賃改定を申請するのは、消費税率の引き上げに伴うものを除くと開業以来初めて。認可された場合、同社は来年2026年3月に運賃を改定する予定。認可後に届け出る予定の内容も含めると全体では12.2%の値上げだが、子供運賃は均一運賃の導入で大幅に値下げする。
普通旅客運賃は現在、初乗り(1~3km)でICカード168円・切符170円。改定後はIC・切符ともに180円とし、10~12円値上げする。秋葉原~つくば58.3kmは現行額がICカード1205円・切符1210円のところ、改定後はIC・切符ともに1280円で70~75円の値上げ。
子供の普通旅客運賃も切符は従来通り大人の半額として10~40円の値上げだが、初乗り(90円)は据え置き。ICカード利用の場合は1~13kmの区間で据え置き、14km以上の区間は一律200円に改定する。秋葉原~つくばは現行602円から402円の値下げだ。

定期旅客運賃は1カ月・19~21kmの場合、大人の通勤定期で3110円値上げの2万1940円。大人の通学定期は全距離帯で値下げし、19~21kmの区間は2110円値下げの1万440円になる。子供の通学定期も全距離帯で値下げし、19km以上の区間は5000円均一に。秋葉原~つくばなら現行1万4440円のところ9440円値下げの5000円で、現行額の約3割になる。


改定率の平均は定期外が8.2%の値上げで通勤定期は20.2%の値上げ。一方で通学定期は15.3%の値下げだ。
TXは2005年に開業し、まもなく20周年を迎える。輸送人員は2019年度が1億4310万6000人だったのに対し、コロナ禍が本格化した2020年度は1億44万7000人に落ち込んだ。2023年度は1億3868万人まで回復している。
2023年度の収支は収入が453億3100万円なのに対し、支出は693億9300万円で240億6200万円の赤字だった。2026~2028年度の3年間平均の推計では、現行運賃のままなら233億5200万円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額を175億8000万円に縮小することを見込む。
首都圏新都市鉄道によると、車両や鉄道施設の大規模更新に加え、混雑緩和のための長編成化や車両基地の増強などが急務な状況。将来にわたって安全・安定・安心輸送の維持・向上を図りつつ持続可能な経営を行うため、運賃改定を申請したという。その一方、子供運賃の値下げは「日本全体で少子化が進行するなか、子育て世代が沿線に定着することは、当社や沿線の発展にとって重要であるため」としている。
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