四国の社会資本整備重点計画「新幹線を強く求める声」明記 松山の高架化も推進



瀬戸大橋を走る四国横断新幹線の列車のイメージ。【撮影:きしゃ日和】

国土交通省の四国地方整備局は「四国ブロックにおける社会資本整備重点計画」を策定した。鉄道関係では新幹線や連続立体交差事業(連立事業)の推進などを盛り込んだ。

策定は8月31日付け。計画期間は2021~2025年度としている。四国内のインフラについて「高度成長期以降に多くの社会資本が集中的に整備されてきた」と評価しつつ、「地域生活や地域産業を支え、住みやすいまちづくりの基盤となる社会資本の充実がさらに求められている」とし、高速道路や新幹線、港湾、空港などの整備を盛り込んだ。

新幹線については、今年2021年3月に「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」で「四国における新幹線についても検討を進めること」と採択されたことを受け、「地域からも新幹線を強く求める声が上がっている」と明記した。具体的な整備区間や整備方式などには触れていない。

また、四国4県の県知事やJR四国などが参加する「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会II」の中間整理(2019年10月)で「新幹線を骨格とした公共交通ネットワークの構築」が示されたことを受け、「県別会議等を通じて、各交通モードの特性や地域の特性・実情を踏まえた適切な公共交通ネットワークのあり方、その中での鉄道の活かし方等に関する検討を進める」とした。

このほか、リニア中央新幹線の整備効果を同線のエリア外にも広げる「スーパー・メガリュージョン構想」の取り組みを推進。連立事業は現在工事中の愛媛県が進めているJR松山駅付近の高架化を「持続可能で暮らしやすい地域社会の実現・生活の質の向上」の事業と位置付け、完成目標を2024年度と明記した。

四国を通る新幹線の計画は、大阪市~徳島市付近~高松市付近~松山市付近~大分市を結ぶ全長477kmの四国新幹線と、岡山市~高知市を結ぶ全長143kmの四国横断新幹線がある。いずれも1973年に基本計画が決定されたが、膨大な費用がかかることから実現していない。1985年に完成した大鳴門橋(兵庫県・徳島県)と1988年に完成した瀬戸大橋(岡山県・香川県)には、新幹線を通すスペースが確保されている。

大鳴門橋の下部に確保された鉄道スペースを走る四国新幹線のイメージ。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット編集部】
四国新幹線と四国横断新幹線のルート。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

四国新幹線整備促進期成会が2014年にまとめた基礎調査によると、概算事業費は四国新幹線が約4兆円、四国横断新幹線が約7300億円。費用便益比(B/C)はいずれも1を下回る。四国新幹線の徳島市付近~松山市付近と四国横断新幹線を整備する一部整備案は約1兆5700億円で、B/Cは1.03になるという。

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