阪堺電軌の運賃改定が認可 実施ベースで20円値上げ、定期券も全線均一制に



国土交通省の近畿運輸局長は9月14日、大阪市と堺市を結ぶ路面電車を運行している阪堺電気軌道(阪堺電軌)が申請していた、軌道事業の旅客運賃変更を申請通り認可した。10月1日から値上げされる。

阪堺電軌の路面電車。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃(大人)の上限は250円の均一制に。定期旅客運賃(大人・1カ月)の上限は通勤定期が9660円、通学定期が5500円で、いずれも全線均一制になる。平均改定率は、普通旅客運賃が5.938%、定期旅客運賃(大人・1カ月)は通勤10.576%、通学29.172%になる。

一方、阪堺電軌は上限運賃の認可を受け、実際に適用する運賃(実施運賃)を近畿運輸局長に届け出た。普通旅客運賃は上限運賃より20円安い全線230円均一に。実質的には現行運賃(210円)より20円の値上げになる。これにより、定期旅客運賃の平均割引率も、実施ベースでは通勤30.0%(現行34.3%)、通学60.1%(同67.1%)に引き下げられる。

阪堺電軌は、恵比寿~浜寺駅前間14.0kmの阪堺線と、天王寺駅前~住吉間4.3kmの上町線を運営。同社によると、利用者数は1998年度が1104万8000人だったのに対し、2009年度は722万人まで減少。赤字経営が常態化していたという。

同社は2010年度から10年の期限で堺市からの公的支援を受け、現行運賃の維持やICカードシステムの導入、停留場の新設、超低床式の新型車両の導入などの改善策を講じ、2018年度の輸送人員は820万2000人まで回復した。しかし、今後も運行管理システムの更新などの設備投資が行われる計画で、経営環境が依然として厳しいことから、運賃の値上げに踏み切った。