JR西日本は9月18日、在来線で8月から「線路設備診断システム」の運用を開始したと発表した。人口減少や少子高齢化、人材確保の困難などの社会課題を背景にメンテナンス手法を見直す。
総合検測車のDEC741電気式気動車に線路設備診断システムを搭載し、電化区間で運用する。従来は徒歩による巡視で行っていた線路設備のチェックをDEC741が走りながら行い、線路設備診断システムが不具合を検知した場合は現場区所に通知する。
JR西日本によると、これにより適切な保守につなげることが可能になることから、ロングレールが敷設された区間を対象に徒歩巡視の回数を半分に減らすという。
DEC741は新型の検測車。DEC741-1とDEC741-101の2両で構成される。直接的には国鉄時代から運用していた架線検測車(クモヤ443系電車)の後継車両だが、架線検測に加え各種電気設備や線路の状態もチェックする総合検測車として計画された。
現地での徒歩巡視や目視確認などの検査業務をDEC741が走りながら行えるようにすることで、重大労災の減少や労働投入量の削減を図り、少子高齢化に伴う作業員不足などの課題の解決を目指す。
線路設備診断システムは2021年に車両が完成した時点では設置せず、搭載スペースのみ確保。当初は443系の代替として架線検測のみ行っていた。
《関連記事》
・JR西日本の新型事業用車「DEC741」公開 クモヤ443「拡大版」の総合検測車
・JRの会社名「旅客」が含まれている理由 貨客分離だけじゃない、ある大手私鉄の存在