東急電鉄「四足歩行ロボット」鉄道の点検・検査に導入へ 変電所や車庫で技術検証



東急電鉄は2月21日、四足歩行ロボットを導入すると発表した。鉄道の点検・検査業務の高度化や効率化を目指す。

東急電鉄が導入する四足歩行ロボット「Spot」。【画像:東急電鉄】

東急電鉄が導入するのは、米国企業のボストン・ダイナミクスが開発した四足歩行ロボット「Spot(スポット)」。プラント技術サービスやロボット販売などを手がける東北エンタープライズが協力する。

2025年4月以降、元住吉駅周辺の変電所や車庫を対象にSpotを導入。変電所では電気設備のメーター読取や端子などの取付状況の良否確認、各設備の外観検査、ガス漏れ検査などを行えるかどうか検証する。車庫では車両搭載機器の取り付け状況や消耗品の摩耗状況の点検・検査、車庫線路内のレールボンドなど各設備の外観点検・検査などを検証する。

各種設備の外観検査を行うSpotのイメージ。【画像:東急電鉄】
車両の床下に入って搭載機器の取付状況や摩耗状況などを調べるSpotのイメージ。【画像:東急電鉄】

2026年度以降は技術検証エリアの拡大を検討。AI画像解析システムなどの活用による数値化および検査表への自動入力や、各種点検・検査業務で取得した画像・データをシステムに蓄積し、データ活用・分析による保守業務の高度化などを図る。

実施フローのイメージ。【画像:東急電鉄】

東急電鉄によると、Spotの恒常的な導入は日本の鉄道業界では初の取り組み。従来のロボットに比べて高い走破性があり、鉄道施設内のさまざまな場所での検査が可能。高機能カメラ・センサーを追加搭載できるため、四足歩行ロボットの柔軟な動きに合わせて細部まで捉えた画像・映像データや、数値化されたデータを確認することができ、検査の高精度化が期待できるという。

「お花見」するSpot。【動画:東北エンタープライズ/YouTube】

東急電鉄は親会社の東急が昨年2024年3月に公表した中期3か年経営計画にあわせ、2024~2026年度の中期事業戦略を策定。四足歩行ロボットの導入は中期事業戦略で掲げている「運営高度化と業界連携強化」の一環になる。東急電鉄はSpotの導入により、現場点検・検査業務終了後に事務所で行っていた業務を現場・事務所で並行して行うことで業務の効率化を目指すとしている。

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