JR北海道は北海道新幹線の最高速度を360km/hに引き上げることを目指す。同社が4月1日に公表した「JR北海道グループ中期経営計画2026」で、2026年度以降の事業構想の一つとして盛り込んだ。
北海道新幹線の新函館北斗~札幌は最高速度を320km/hとして建設が進められているが、JR北海道は中期経営計画で「新幹線の安全・安定輸送を支えている高速鉄道の技術は日々進化しており、新幹線のポテンシャルを最大限発揮するためにも、さらなる高速化(360km/h)の実現を関係者と協力して追求します」としている。
整備新幹線は基本的には最高速度を260km/hとしているが、JR北海道は2019年、北海道新幹線・新函館北斗~札幌を320km/hで走行できるようにすることを国土交通省に要請。それによる工事費の追加分(2019年時点で約120億円)は自社で負担するとした。320km/h化で所要時間は5分ほど短縮される。
北海道新幹線と相互に直通しているJR東日本の東北新幹線も最高速度は260km/hとして建設されたが、現在は大宮~宇都宮が275km/h、宇都宮~盛岡が320km/hに引き上げられており、盛岡~新青森も将来的には320km/hに引き上げられる計画だ。
東京~札幌の所要時間は北海道新幹線・新函館北斗~札幌の工事実施計画が認可された2012年時点で5時間1分を予定していたが、JR北海道は320km/h化で4時間半に短縮することを目標にしている。同社は目標とする最高速度をさらに40km/h引き上げて360km/hにすることで、航空交通や高速道路に対する競争力の強化を図りたい考えとみられる。
2本のレール上を走行する鉄道で営業最高速度が最も速いのは現在、中国とインドネシアの高速鉄道で350km/h。これに日本の新幹線とフランスの高速鉄道(TGV)、ドイツの高速鉄道(ICE)が320km/hで続く。他国の高速鉄道の最高速度が現状のままなら、360km/h化で世界最速が視野に入る。
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