リニア中央新幹線の神奈川県駅「エンタメ施設」として活用 神奈川県が検討



神奈川県の黒岩祐治知事は7月5日、リニア中央新幹線・神奈川県駅(仮称、相模原市)の工事現場をエンターテインメント施設として活用する考えを明らかにした。黒岩知事は7月11日に現地を視察する予定。

神奈川県駅の工事現場(2022年9月)。現在は掘削工事が完了してトンネル構造物を構築する工事が行われている。【撮影:草町義和】

黒岩知事は7月5日の定例記者会見で「神奈川県駅の工事自体は着々と進んでいるが、線路の敷設は最終段階で行われる」と話し、「そうすると駅の工事がある程度できあがってからどのくらいになるか分からないが、(線路の敷設工事が始まるまで)10年近くそのままの状態になる」との認識を示した。

そのうえで「神奈川県駅の工事現場では、いままでもコンサートをやったりしているという話を聞いた。ちょうど県民ホールが来年(2025年)3月でとりあえず閉館になり、横須賀芸術劇場も改修に入るということで、エンターテインメントを発表できる場がなかなかない」と話し、神奈川県駅の完成したスペースをエンターテインメント施設として暫定的に活用できるかどうか検討する考えを示唆した。

神奈川県駅はJR横浜線・相模線と京王相模原線が乗り入れる橋本駅の南側に設置されるリニア中央新幹線の地下駅。地下約30mの場所に島式ホーム2面4線を設ける。現在は掘削工事を完了して箱状のトンネル構造物(函体)の構築工事が進行中だ。建設主体のJR東海は掘削工事がある程度進んだ段階でプロジェクションマッピングやコンサートなどのイベントを開催したことがある。

リニア中央新幹線・神奈川県駅の位置。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

リニア中央新幹線自体は品川(東京)~名古屋が2027年の開業を予定して工事が進められてきたが、トンネル建設の湧水による大井川の流量減少を懸念した静岡県が同県内での工事を認めないなど各地で工事が大幅に遅延。実際の開業は早くても2034年になる見込みだ。工事が比較的順調に進んでいる場所では土木工事の完成から開業まで相当な時間が空くことが考えられる。

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