川崎重工業と日立造船は1月27日、両社が展開しているシールドマシン事業の新会社設立に向け、詳細な検討を行うことで基本合意した。同日設置した準備委員会で協議を進める。
新会社は川崎重工と日立造船が半分ずつ出資。本社を関西地区、営業拠点を東京に設置する予定で、シールドマシンの営業とエンジニアリングを行う。
両社によると、川崎重工は1957年からシールドマシン事業を国内外で展開。日立造船も1967年から国内外で展開している。近年は両社とも、おもに国内の鉄道や道路、下水道などのトンネル工事向けにシールドマシンを納入してきた。
川崎重工は超大口径や高水圧、岩盤や長距離掘削に適した機種を技術的な強みとし、国内外で1400基以上を納入。一方で日立造船は小口径から超大口径、異形、矩形などさまざまな種類のシールドマシンを製作しており、1300基以上の納入実績がある。
シールドマシンは今後、国内市場の伸展が限定的になると想定される一方、海外市場では欧州や北米、南米、中東の市場に参入できる機会があり、インドや東南アジアなどでは地下鉄の整備を中心に継続的な需要が見込まれている。
こうしたことから両社は今後の市況環境を見据え、シールドマシン事業の発展・競争力強化のため協力することで基本合意したという。今後は準備委で協議を進め、来年2021年10月の新会社設立を目指す。
シールドマシンはトンネルの工事方法のうち、おもにシールド工法で使われる掘削機。円筒状のマシンの先端がカッターになっていて土砂を削り取る。シールド工法でシールドマシンを使う場合、掘削と同時にマシン後方でセグメントと呼ばれる壁材をトンネルの壁にはめ込んでいく。